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2016年 07月 17日

大野慶人の夕ー回路(23)

東京・吉増展レセプションで久し振りにお会いした
大野一雄さんのご子息慶人さんの札幌ソロ公演に
ご招待頂く。
土曜日夕刻会場まで出掛けた。
地下鉄琴似駅の地下にあるPATOS。
会場入口で25年ぶりに照明・マネージャーの
溝端俊夫氏に会う。
向こうも私とすぐ識別できなかったようだ。
私も金髪の溝端氏は直ぐに分からない。
そんなに何度も会っている訳でもない。
25年前も大野一雄石狩河口公演時に2,3度顔
を会わせただけである。
それでも無事大野先生の公演が終わって、初めて
見た溝端さんの笑顔を忘れない。
そして公演のポスターくださいね、と声を掛けて
くれたのも忘れてはいない。
それから25年、この日初めて約束を果たしポスター
2葉と残っていた手つかずの入場券を渡した。
笑顔で握手。
そこに25年の歳月は一瞬にして消える。

会場は半円錐形の構造で、舞台は前方に高さなしで
広がる。
私は前から二列目の椅子席。
一列目は座布団席である。
右横通路を挟んで関係者席と貼られた席が2っ続く。
先に来て選んでくれたGさんは一列目の座布団席に
座り、私の席は特等席な気がする。

「花と鳥」公演が始まる。
こうして通しでソロの慶人さんの舞踏を見るのは
初めてである。
女形になるのを見るのも初めてだった。
やはり半裸で大野先生とは対照的な動きの静かな
慶人さんが私は好きだ。
しかし出だしの音楽が、石狩河口の出だし、慶人
さんの登場時に流れていた曲と同じなのに気付く。
衣装は違っているが、手の動きが同じように感じる。
細江英公の「へそと原爆」上映も含めて2時間近い
上演が終わる。
そしてアンコールの最後にふたつの指人形が幕間より
姿を現し、プレスリー曲の「好きにならずにいられない」
が流れた。
指人形は大野一雄だ。
そしてこの曲は大野先生が石狩河口公演後いつも稽古場
で流していたと聞いた事がある。

 Like a river flows surely
 to the sea
 Daring so it goes some things
 are meant to be
 Take my hand、take my whole life
 too
 For I can’t help falling in love
 with you

思わず胸が熱くなった。
小声で曲に唱和し歌った。

”先生、石狩河口へ行きましょう!”
”行きましょう!”

そう即座に応諾してくれた大野先生。
その事の感謝から、石狩河口公演ポスターは「石狩 みちゆき 大野一雄」
と名付け印刷したのだ。
正式な演目は「石狩の鼻曲がり」である。
後にかりん舎から発行された記録集で、この名称で文を記しているのは
私と大野先生だけである。
そして公演後横浜の稽古場でいつもこのプレスリーのこの曲を流して
いたと後に聞いていたので、より一層ジンときたのだった。

海へと確かにそそぐ川のように、流れに身をゆだねるべき時もある・・。
さぁ、手を取って、この命を捧げよう

やはり私には、大野一雄だったなあ。
慶人さん、溝端さんに感謝しつつ、この曲を口ずさみつつ帰路に
ついたのだった。

*「石狩・吉増剛造 1994」ー7月31日まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休(水・金 都合により午後3時閉廊)

 :「声ノマ 全身指示、吉増剛造展」ー8月7日まで。
  am10時ーpm5時:月曜定休。
  東京都国立近代美術館 東京都千代田区北の丸公園3-1

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-07-17 14:19 | Comments(0)


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