2016年 06月 16日
空梅雨などといわれながら、今日は梅雨入りのような日。 東京行きの疲れが出たのか、先日は12時頃まで眠り扱ける。 吉増さんからレセプション出席のお礼の電話が留守録に残って いた。 展覧会の評価はこれから会期中2ヵ月の間どんどん広がって 行く事だろう。 私の中でもそのラディカル(根・根本的なー根底的・過激な) な印象は、札幌に帰った今も心に広がっている。 テンポラリースペースで開かれた6年間5回の連続個展。 その重さもあるが、さらに遡る1994年「石狩シーツ」誕生 時までの1991年大野一雄石狩河口公演ー1989年見えな い暗渠の川界川のイヴェントでの吉増さんとの出会いも含めて <根>の道程は深い。 現在の「怪物君」に至るこうした根の道行きを限られた枚数の 原稿用紙に埋める事は難行だった。 現在展示中の「石狩シーツ」草稿7葉を初めて公開した1994 年「石狩河口/坐ル」展。 そして2010年の「石狩河口/坐ルふたたび」 さらに3.11を経て始まる「怪物君」への展開展。 その間の現在に至る根と水との関係のように吉増剛造の世界と 多くの関わった人・事象・時代を抜きに本質的な命題は語り尽く せぬものがあるのだ。 大きくは日本の近代の二つの位相・明治開国と昭和敗戦。 そこに現在につながる日本の近代化の根源的問いが横たわり、 吉増剛造が今最も深く巨樹の根として近代の基底に敷いている 吉本隆明と大野一雄に触れずしてこのテーマは語れない。 さらにそれらに先立つ1983年中央公論社刊「大病院脇に聳え たつ一本の巨樹への手紙」という自己の根への深い洞察力に満ち た名作についても触れておかねばならない。 かつテンポラリー4回目の展示「水機ヲル日・・・」で爆発する ように顕れたこの場で交感した友人たちへの呼びかけ。 これも大切な5回の展覧会の歴史なのである。 もう最後は編集者に任せたが、吉増さんからの留守録にもどうなっ たかという拙文への問いかけも含まれていて、心重いのである。 大筋においては間違っていない自信はあるが、細部はまだいくら でも加筆・改行・添削がある。 そうした中で通院も抱えながらの東京行きで本当に疲れたのだ。 そんな中遠くからずっと見つめていてくれた東京のM氏が、在京 中も暖かく迎えてくれ、かつ吉増展を高く評価しお祝いのメッセージ まで私に送ってくれた事は深く感謝するのだ。 そして今日もう一人の敬愛する美術批評家Kさんから今回の吉増展 に関する某出版社の書評コピーが送られてきた。 今回の展覧会紹介も兼ねた新刊みすず書房「怪物君」の書評「詩は 遂にここまで到達した!」である。 どこか連れ添うように、道行きするように、ある面で吉増剛造という 天才と繋がってきたが、基本的には私は私の足元で穴を掘り・根を張っ ているだけである。 あまり吉増剛造に寄り過ぎて大野一雄を、吉本隆明を非知・非力で触れ てはいけないのかも知れない。 私自身の土俵で、吉増さんが新GOZOCINEで呼びかけたブンタ、 マサさん、中嶋さん、仁美さん達を同量で書き進めていたからである。 しかし有名無名を問わず、それがここテンポラリースペースで起きた 草の根の生命だったと思うのだ。 覚悟決めて今は出版を待とう。 *「石狩・吉増剛造 1994」展ー7月31日まで。 am11時ーpm7時:月曜定休(水・金は都合により午後3時閉廊) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503 、、
by kakiten
| 2016-06-16 16:19
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