朝から冷たい風吹き雪が降り出す。
鼓代弥生展最終日前日朝。
早速展示を見た客と話しが進み、太鼓の音が響く。
外では雪が舞い、中では太鼓が響く。
音も風も雪景色も絵も一体となって時が過ぎる。
会場に置いてある太鼓にも鼓代さんの絵が描かれている
から、会場に違和感はない。
そして観客は2階吹き抜けに上がり彼女の演奏を聴く。
空間全体が彼女の絵画と共に目に耳に肌に全身に響く。
空間が五感の函(はこ)となって身体も函となる。
函は閉じる箱ではない。
水が緩く流れ、淀み、函となるハコなのだ。
光も水のようにこの小さな函を流れる。
雪の日も風の日も朝・昼・夕、同じ光はない。
鼓代さんは自然に、木彫・絵画・太鼓そして射し込む光
訪ねる人とともに、鼓代の函を創っている。
きっと彼女にとって幸せな時間・個展と思う。
自らも解放され、訪れた人も解放される。
人間も五感・第六感の函だから、それを子供達が身体的に
一番先に実践している。
川を上り下る魚のように、梯子を登り、階段を駆け下り、吹き
抜け回廊を走る。
水や光や風が保つ緩急・明暗・強弱の世界に囲まれて人もまた
生きているのだから、身体の内に閉じている函性を意識的に
回復すべきなのだ。
閉じた箱(ボックス)から、開いた淀み流れる函(世界)へ。
そんな身体函の脈拍・鼓動を聴きながら最終日前日が過ぎてゆく。
*鼓代弥生木彫平面作品展「駅」ー5月1日まで。
テンポラリースペース札幌市帰宅北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503