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テンポラリー通信

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2016年 04月 24日

コカコーラの瓶ー鉄橋(15)

もう10年以上前教育大生のN君が学校のグランドを掘り起こす
「モグラプロジェクト」というパフォーマンスを試みた事があった。
5,6mも地下へ掘り込んで、その途中出土したものを展示した。
一番最後に出たのは、コカコーラのガラス瓶だったという。
石狩川河岸に近くかって河川敷だったような地形なので、地上の
歴史もコカコーラの時代までという証である。
いわば戦後近代の根が、コーラのクラシックガラス瓶ともいえる。
この後ペットボトルとなり、ガラス瓶は牛乳瓶と同様プラステックや
紙パックに変わっていくのだ。
明治以降の西洋的近代化とアメリカ占領下戦後のアメリカ化近代
の原点とは、珈琲とコーラの違いかも知れない。
しかしその容器を思えば、ガラス瓶とペットボトルでは、廃棄後の
在りようが決定的に違う。
大量販売の大量消費。
それがアメリカ式物質主義の流れだとすれば、プラステック瓶は
まさにぴったりの瓶なのだ。
ガラス瓶との相違は、運搬の利便さ、空瓶の手軽さ、すべてにおいて
勝っている。
しかしそれは自然に戻らぬ産業廃棄物の最たるものとして、ガラス
瓶とは一線を画す。
コーラ瓶のペットボトルとガラス瓶の差異は、それなりに近現代の根
の差異として大きな位相を占めている。
この話にペットボトル世代の歌人と呼ばれた山田航さんが反応して
いた。
実際に藍の里地区に実家のある彼は、いわばこのコーラの近代を
生まれ育った時代の申し子なのだ。
第二歌集「水に沈む羊」展では是非また今は尾道で船大工をして
いるN君にもまた作品を創ってもらいたい。
ガラス瓶とペットボトルの対話。
その界(さかい)には、近代と現代の大きな境界が横たわる;
有機物の自然に還るガラス素材と石油から原発に至る現代の
エネルギー源の境目のエッジだ。
近代と現代の界<さかい)の両岸の対話だ。

*それぞれの八木保次・伸子展ー4月24日(日)まで。
*鼓代弥生木彫平面作品展「駅」ー4月27日(水)ー5月1日(日)
:ライブ・太鼓×ダンスー4・26午後7時~&5・1午後2時~。
 1500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

 

by kakiten | 2016-04-24 13:01 | Comments(0)


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