何人かの友人が福寿草の写真をSNSに載せている。
黄金色に輝くこの花。
腐れ雪の中から、喜・黄として冬の終わりを告げる。
黄・喜・JOY・・。
今年の冬はいつもの年より寒気がきつく感じられた。
貧爺(ひもじい)状況と、紐爺(ひもじいー)のように人に
助けられ、冬の臓器・腎臓病の所為もあったのだろう。
寒さが鋭く身体を貫いていた。
街の路面から大半の雪山が消え、明るい日射しが注ぐ。
福寿草の輝く黄金色が心も暖める。
収蔵品「記憶tと現在」展で正面に並べた八木伸子さんの
作品は、まさにこの福寿草の黄の光彩に溢れている。
絵は福寿草そのものを描いている訳ではない。
私自身がそう感じているのだ。
また八木保次さんの黄と緑の抽象画は、私にはもう一つの
春の色・山辺に咲くふきのとうに見える。
具象・抽象の表現の差違はあっても、ふたりの追求したもの
は、本質的に色彩という光だったと思う。
その光はこの北の風土が生む光彩という光の彩り、光の色だ。
ともに札幌中心部で生まれ、若い時札幌を離れ後年札幌に帰り、
宮の森の山裾近く森と緑に囲まれそこで改めて発見した故郷の
光彩を、生涯通して追求したと私は感じている。
白や青を主体とする冬の光彩の作品も多い。
私が所蔵している作品は、ともに春を感じさせる作品だ。
そこでできうる限り、おふたりが相次いで亡くなられたこの季節に
所蔵の2点を起点に、友人知人ご遺族の手元に遺る作品と併せて
追悼の展示をしている。
今回「記憶と現在」展で初めておふたり以外の作品と併せて
展示してみた。
村岸宏明の暗い時代と個我の内面を感じさせる作品の傍で、
まるで人間社会や時代を囲繞する自然そのものの光彩のように、
ふわっと佇んでいたのだ。
村岸君が最初で最後の個展で使った白樺の木。
その白樺があった処と谷ひとつ隔てた所が八木ご夫妻の住まい
だった。
そんな近接感さえ感じさせて、3つの絵は並んでいる。
なにか、村岸君も幸せそうだなあ・・。
*「記憶と現在」ー3月29日(火)ー4月10日(日)
*それぞれの八木保次・伸子展ー4月12日(火)ー24日(日)
*鼓代弥生木彫平面作品展「駅」ー4月26日(火)ー5月1日(日)
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