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テンポラリー通信

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2016年 02月 03日

後期インスタレーション初日ー泉(7)

光の滴降る降る。
南の陽射し、西の陽射し。
午前から午後にかけて陽射しの変化とともに
煌めきが移動する。
ガラスの房の下方の溜りに光が虹彩を放って
宿り、揺らめく。
三百本すべてが一斉に煌めく短い時間がある。
陽光が雲で翳り流れ、また煌めく。
そんな光曼陀羅の至福の時がある。
外に吊られたガラスの房たちも路上の風に吹かれ
静かな音を響かせている。

午後7時、大田ヒロさんの演奏が始まった。
古い鉄の板を円で切り取った自製の楽器。
足を骨折して以来既成の打楽器は使えず、叩きたく
思う素材を見つけ自ら打楽器を創っている。
テンポラリースペースでは三度目の登場だ。
円山北町最後の高臣大介展、今の場所最初の大介展。
どちらも伝説的な名演奏だった。
坊主頭になり、袈裟のような黒の羽織を着込んだ大田
ヒロが静かに黒い鉄の円盤を撫でるように叩き出す。
小一時間深く内なる世界へと降り立ち、そして立ち上る
瞑想性に満ちた音の降臨だった。
ガラスとキャンドルの煌きの中で、掌(たなごころ)の音
が光臨していた。
演奏を終えてゆっくり着替えている大田ヒロさんに、大介
が近寄り、もう一度とアンコールをせびる。
いや~あと言いながら、手はもう一度服に伸び着替えに
入っている。
やる気である。
アンコールはほとんどしない大田ヒロ。
しかしここでの演奏会では二度ともアンコールに応えて
いる。
独奏で自家製打楽器を叩き続ける消耗で、ほとんど1時間
は、限界なのだ。
それを超えて打つには、何らかの新たなエネルギーが加わる
ものが発生した時だけだと思う。
高臣大介展では不思議とそうした時間が訪れる。
二度目の演奏は入魂の撃ち刻みで、長く止らない大拍手だった。

一吹き入魂。
一打入魂。
このふたり陽陰違えど、似てるなあ。
呼気・吸気の往還。
だから大田ヒロにとってこれはアンコールではないのだ。
あらためてふたりの深い友情を想った。
ガラスに注入される光の呼気吸気。
打楽器に注入される音の呼気吸気。
素晴らしい「みつめあう。」時空間だった。

*高臣大介ガラス展「みつめあう。」-2月7日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-02-03 13:18 | Comments(0)


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