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テンポラリー通信

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2015年 12月 23日

草稿という赤子ー土(19)

我々はひょっとするとひとつの出産に立ち会って
いるのかも知れない。
村上仁美さんが披いた吉増さんの草稿。
あえて五つか六つと事前に連絡あった折り畳まれ
たスカーフ包みの草稿の束。
それは白い紙にさらに一個ずつ包まれた絵の具滴る
ような六つの草稿の塊だった。
六つを敢えて五つか六つと表現した事と作品草稿の
生々しさに、咄嗟に浮かんだ言葉が五臓六腑だった。
その閉じられた魂を村上仁美さんが見事に取り出し
展示に加えた現在、私達は吉本隆明と吉増剛造の
孤独な戦後根の世界の苦闘に生々しく今立ち会って
いる気がする。
吉本隆明という戦後思想の太い骨に血肉が生え出た
できたての胎児のような、か弱い根の子だ。
参加した我々は、全員産科医のような立会人なのか
もしれない。
今展示を見ながらそう思える。

来年6月東京・竹橋の国立東京近代美術館で吉増剛造展
が予定されている。
この場とは比較にならない規模の場所である。
そして内容もこれまでの吉増剛造のすべてが展示される
大規模なものとなるのだろう。
しかし今回の「怪物君 歌垣」の内容は、吉増剛造の眼
(まなこ)として存在する事も間違いない事実だ。
日本の近代の深い処で、日本のモダニズムとナショナリズ
ムの根が、吉本隆明と吉増剛造というふたりの根の葛藤とし
て吉増剛造は見えない闘いを続けてきた。
そのひとつの結果が今回の展示である。
この生まれたばかりの胎児は、来年6月どう成長した手足
を見せるだろうか。
今回立会人のひとりである鈴木余位氏が、再び映像で参加
する事が予定されている。
この場で5年連続したまなこ(眼)が、瞳となって
如何なる眼差しを発するのか。

そう思える・・・。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-1月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・正月3ヵ日休廊。
 :参加作家 鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)
 :会場構成 河田雅文
*高臣大介ガラス展ー1月下旬前後期2週間。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-12-23 14:18 | Comments(0)


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