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テンポラリー通信

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2015年 11月 19日

信濃と那覇からー土(2)

去る九月六日に信濃で行われた吉増剛造×大野慶人の
コラボレーション「イシカリノカ」の観覧記録と沖縄
那覇の沖縄美術館石田尚志展訪問の感想が、東京・川戸
郷史さんより届く。
文章・写真・DVDと同封されている。
川戸さんの沖縄・信濃の土地そして公演・展示を見た
興奮・熱気がそのまま伝わってくるようだった。
私にとって、「イシカリノカ」というタイトルと大野慶人
という名前だけでもう、1991年秋の大野一雄
石狩河口公演が甦る。
川戸さんの記述によれば慶人さんは頭にバケツを載せて
顕れたという。
一瞬その記述を読み思い出すシーンがあった。
あの石狩河口の最初の一雄・慶人が共演する場面に出てく
る慶人さんの印象に強く残る川の中のシーンだ。
川の中で水を被る、あのバケツだ。
イシカリノカー石狩の香。
慶人さんにとって、あの時石狩川を身体全体で感じたあの水
を思い起こすバケツなのだ。
大野一雄は鮭の出産を岸辺で踊り、慶人さんは川中で夕陽を
浴びながら川を遡上する鮭の姿を舞っていた。
その遡上する鮭の水との闘いを表現して、バケツから何度も水
を掬い自らの身体に浴びせていたのである。
岸辺では大野一雄が木彫りの鮭を使い土を掘り出産の産室を
造る場面を表現し、大野慶人は川中で遡上する鮭を顕していた。
舞踏「石狩の鼻曲がり」序盤最初の忘れられぬ名場面だ。
バケツはその石狩川の香りそのものを思い出させるものだ。

慶人さんに先立ち吉増さんは今年8月亡くなられた井上輝夫氏を
悼み、一筋の川のように敷き詰めた「怪物君」草稿と故若林奮
さんの0・1mmの銅版の巻物の前に正座し語り演じたという。
銅版の巻物と「怪物君」草稿の一筋の流れは、川戸さんの表現を
に拠れば、

 石狩での一雄さんと慶人さんの舞が生と死の境を越える”魂の
 みちゆき”であったなら
 ”イノウエーッ”・・・と呼びかける身体もまたこちらと対岸と
 とを行き交う小舟のようなものかも知れません。

と述べている。
彼岸と此岸・生と死。
詩行を刻印した銅版の巻物と怪物君の草稿の連なりは、正に
川のように在って、大野慶人さんを迎えたのであろう。
そこで慶人さんは、バケツを頭に載せ石狩川のあのシーンを
心に再生したのだ。

DVDは残念ながら再生不能で映像として見る事は出来ていない。
写真も部分的で大半は文章によって想像した。

石田尚志さんの沖縄個展は次なる札幌展に向けて、こちらの方が
気を入れて準備しなければならない。
来月の吉増剛造展も控え石田さんの来廊も同時にあるので、ここ
らが勝負である。

「まもなく12月です。またテンポラリースペースにお邪魔致します。
 いよいよ冬本番ですがどうぞご自愛下さい。・・・・川戸郷史

川戸さんの便りに感謝する。

*吉増剛造展「怪物君 歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:正月3ヵ日休廊。
:鈴木余位(映像)・村上仁美(花)・山田航(歌)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-11-19 15:59 | Comments(0)


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