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テンポラリー通信

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2015年 11月 05日

星の衝突ー空(18)

流星の小さな隕石が精霊人形となって、日常に衝突
したような気のする3日間だった。
展示の半日にもその予兆はあった。
曇り日の夕刻の一瞬、雲間から西陽が射し込み高臣
大介の「あふれでる」に光が宿り躍った。
透明な3本のガラスの房が、光の水滴となって煌いたのだ。
この直撃の一瞬、光宿る時間こそが、星の衝突の時間だった
と思う。

アメリカの先住民Hopi族の自然精霊の形象・カチーナドール。
それ自体が遠い星の石・隕石のように日常を撃ち飛散した。
Hopi族の保つ長い歴史の時間。
それと飛来したこの場処が保っていた比較にもならないが
ここ固有の積み重ねた時間。
その時間が長短の枠を超え接触したと思える。

21年前2年に及ぶブラジル滞在を終え帰国した吉増剛造さん
は、自らが言う「幽閉」「異常状態」(「裸のメモ」)の困難にいた。
この時半年近く通い滞在したのが、石狩河口である。
そしてその時完成した作品が、長編詩「石狩シーツ」である。
その詩に何度も姿を顕すのが、カチーナドールだ。

 皺、皺、皺、皺、--カチーナ・ドール、皺、皺、皺、皺、--
 ”皺”を”生”のなかで出会う”死”のようにわたしたちは編ンデ行く。
 皺、皺、皺、皺、-カチーナ・ドール、皺、皺、皺、・・・・

特に前半最初に顕れるこの詩行の”皺”と”カチーナドール”
の関係がこの時の詩人の困難との闘いを暗示している。

 片隅の皺、皺、皺、・・・・シュッ
 ishikariの香、・・・・
 (苦シクテ、カチーナ・ドールノ傍ニ、睡ムル)
 二時三十五分起キル

「石狩シーツ」の草稿は「石狩河口/座ル」展として随時展示された。
そうした流れの中で頂いたのが、小さな木の人形である。
それが私のカチーナ・ドールだった。
その人形との20年の時間と今回のHopi展が衝突したのだ。
まるで互いが惹き合うように。
そして迷いや困難の精霊(カチーナ)が光臨したのだ。
私が吉増さんから頂いたカチーナは、病から守る精霊という。
そうした自分自身の身に起きている状況との不思議な符号も
含めて、美術とは、芸術とは、何かを問われている気がする。
生命の個的時間を超え、個の生命に触れ宿るモノ。
そんな星のような存在。
今改めてカチーナドールに導かれるように「石狩シーツ」を読み
返してみると、星の炎のような詩行が立ち上がっていた。

Hopiの大地アリゾナの風土が燃えるような詩炎で浮かび上がる。
「石狩シール」最終行手前の絶唱だ。

 アリゾナよ研山よカチーナドール
 アリゾナよ研山よカチーナドール

    蟻の家から黒ッ頭を突き出せ!アントニオ・ガゥディー
    蟻の家から黒ッ頭を突き出せ!アントニオ・ガゥディー
    蟻の家から黒ッ頭を突き出せ!アントニオ・ガゥディー

吉増剛造さんの困難な時を支えた精霊が、今私の拠点に辿り着く。
そんな不思議な流星のような3日間だった。

*吉増剛造展「怪物君歌垣」-12月15日(火)-1月10日(日)予告。
 :花・村上仁美 歌・山田航 映像・鈴木余位。
 :フライヤー制作 中嶋幸治・酒井博史。
 :会場構成 河田雅文。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



 

by kakiten | 2015-11-05 14:10 | Comments(2)
Commented by 天川 彩 at 2015-11-08 08:13 x
硝子の雫に光宿る瞬間…始まりましたね。
Commented by kakiten at 2015-11-08 14:40
天川さん>そうですね・・。来年吉増展の後ガラス展です。この辺はもう何年も続く
恒例の展示ですが、毎回完全燃焼です。
お機会あれば・・・。


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