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2015年 10月 28日

自転車モダニズム(Ⅱ)ー空(13)

自転車という近代を考えていて、「青い山脈」という
戦後一時期を風靡した石坂洋次郎の一場面を想起した。
若い女性教師が颯爽と自転車で駆け回る場面と思う。
解放された戦後の自由の象徴のようなシーンだ。
自転車が最初に駆けた大正時代にも同じような光景が
あったと聞く。
自由民権の大正デモクラシーの時代。
そして戦後民主主義の昭和20年代。
そこにはどちらも新しい時代への解放の象徴として
自転車が女性とともに顕われる。

しかしその近代が真に根付いたものかどうかは、今も
問われる命題だ。
軽快な自転車の移動に比して、その近代性がこの国に
移住し根付く思想性を獲得したかどうかは、分からない。
移動の横軸の便利性のみが増幅し街のリズムとなっている。
例えば、横文字という言葉も死語となりつつあるからだ。
かって横文字といえば英語を意味し、外国語を比喩した。
今街中に溢れる文字は日本語も含めてみな横文字である。
言葉の縦軸の思想は喪われつつある。
さらには略字すらアルファベットの頭文字で表される時代だ。
つまりは移動の<移>軸心のみが急増幅し、その根に在る
動という主体性が希薄になっている。
戦後若い女性教師が村の中を颯爽と走り抜けた旧体制から解き
放たれた自由という縦軸の<動>の根は、新旧だけの横軸に
移っているのだ。
ポプラのように移住し、そこに根を下ろしてはいない。
自転車は今巷に溢れかえっているが、その当初の近代の根は
拡散し希薄となっている。

近代の根付く未知の新しい大地として、ある時代北海道が
存在したことは間違いない。
本州の様々な国の人たちが、移動して移住してきた大地である。
ここもまたUnited State of 北海道とも
いえる場所なのだ、
その北海道のアメリカンドリームに当たるもののひとつこそ、
近代化という夢であったと思える。
札幌に多く見られた洋風モダーン建築物。
小樽に今も多く残る民間ブルジョアのモダニズム。
官民あげてその夢を産業、街造りに反映させたのだ。
そしてその夢は西洋化だけでなく、去ってきた故郷の風物も
再現し形作ったのだ。
自転車の颯爽と走る闊歩の自由と、この北海道ドリームの
根は同根のものがある。
しかし夢は夢で根を下ろさず、自由は新たな侵略を生み、
奔放横暴な無謀運転を齎す。
これも横軸の優劣の増幅拡大に因る結果だ。
先住民族を旧土人と呼び、自転車も溢れて今は走行規制
の対象ともなっている。
その当初原点に在った夢の煌き、その根をもう一度本質と
して耕さねばならない。
それが真の文化というものと思う。
外国人も含めたいろんな国の先人達の夢の痕。
そこから立ち上げる抒情こそが、夢の根である。

及川恒平と山田航の歌と唄の試みには、その試行の煌めきが
ある。
移動から移住へ、そして新たな移民として、文化の根をふたり
は今後も掘り続けるだろう。
それは近代とともに生まれた、この地への最大の使命だと思う
から・・・。

*Hopiショップ「Sun&Rain in札幌」ー10月30日~
 11月1日am11時ーpm6時:31日は講演会の為午後5時まで。。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2015-10-28 14:51 | Comments(0)


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