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テンポラリー通信

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2015年 10月 01日

風落ちぬー花(23)

寒気足元から忍び寄り、風落ちる。
上着の下に薄いセーターを羽織った今朝。
歩いている時はさほどでも無いが、じっとしていると
足元から寒さがじわっとくる。
風立ちぬ、ならぬ風落ちぬ、冷気立ちぬだ。

9月札幌彫刻美術館の個展を終え、谷口顕一郎さん
宇部市へ立つ。
第26回宇部ビエンナーレ一次審査入選作品の最終選考
があるようだ。
宇部市街地の航空写真を基に、隣接する山地との境を
凹みの線と捉え造形した立体作品という。
これまでの壁や路上の亀裂ではなく、街自体を自然との
境目として着目した新たな展開の作品である。
私の勘ではこの作品は多分なんらかの受賞対象となると
感じている。
本郷新賞に続き、乗っている時とはそういうものである。
風と同様、風立ちぬ時というものはあるのだ。
佐佐木方斎展には、取って返して札幌に再び来ると言う。
今回の佐佐木展のきっかけを生んだのは、谷口さんの一言
だった経緯もある。

<どうしてこんな流れになったのですか?>

今年6月の佐佐木展を見て、その色彩だけの展示作品に率直
に発した言葉だ。
格子群その他の構成的な画面が印象に深い過去の佐佐木方斎
作品に対して、今回の新作に向けて発せられたその言葉が、
あらためて自らの絵画への原点の存在を思い起こさせ、作家
自身に問いとして突き刺さっていったのだろう。
宇部からそのままベルリンへ帰国する予定を変え、敢えて札幌
へ戻るのは、その方斎の初期作品を見る為である。
加藤玖仁子さんといい佐佐木方斎といった優れた先輩達に会え、
彼の久し振りの故郷はきっと豊かな記憶として残るに違いない。
そういえば瀬川葉子さんの作品との出会いもあった。
この作品を原型に新たな自分の作品を創ったと聞く。
それも佐佐木方斎展の時談話室に飾りたいと言っていた。
作品が作品を生み、人が人を生む。
境が亀裂ではなく、界(さかい)となり、世界は閉じず開くもの
として顕れる。
最近の凹みは凸ともなって新たな展開をしていると思うのだ。

風立ちぬ、
風落ちぬ。

これも風の凸凹なのかも知れない。

そう思っていたら、鼻水とクシャミが止まって、寒気も薄れた。

*佐佐木方斎展「Housai’s Early works-1972-1074」-
 10月6日(火)-18日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-10-01 13:59 | Comments(0)


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