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2015年 09月 23日

最前線3人ー花(16)

連休帰省中の文月悠光さんから連絡がある。
午後3時頃訪問という。
そこでふっと思い付いて高校3年のT君に電話した。
応答が無かったが、その後すぐ連絡が来た。
今図書館で大学受験の勉強をしているという。
あなたの先輩の文月さんが来るので、もし良かったら
来ないかと伝える。
しばし沈黙して、行きますと答える。
その後間もなくT君が来た。
随分早いね、と聞くと、自転車ですと言う。
5キロ強あるのにさすが若いなあ、と感心する。
3時にはまだ時間があるが、その間ここで受験勉強
の続きをさせて欲しいと言って教科書参考書を出した。

珈琲を出し私は2階のパソコン室へ、邪魔せぬように
消える。
T君が来たならと、さらに電話する。
T君を最初に認め褒めた来月まで帰国中の谷口顕一郎
さんだ。
ちょうど在宅中でちょっと遅れて行くと言う。
3時過ぎたので下の談話室に降りる。
参考書とノートから顔を上げたT君に、文月さんは会っ
た事あるの?と聞いた。
無いと言う。
だけど美術部の壁に彼女の活躍等が貼られていて興味ある
と言った。
その内間もなく文月さんも来る。
最初自分より若い現役高校生の登場に吃驚した文月さんだ
ったが、後輩のT君とすぐ打ち解けて、美術部の今の様子
など聞いている。
その内に谷口さんが汗かいて到着。
こちらはランニングして来たようだ。
文月さんには今年最初の吉増剛造展のGOZOCINE最終
版を見せる。
映像の中で吉増さん自身がハイテンションで、文月悠光よ、と
叫んでいるシーンがあるからだ。

映像を見終えて話は結局3人の今の話になる。
10代、20代、30代と夫々の最前線の話だ。
T君は来年の大学進学の志望校の選択。
文月さんは大学を出て詩人として自活していく今の悩み。
谷口さんはベルリンに住み自身の彫刻と外国で向き合う事の
苦労と成果。
そんな夫々の第一線の悩みと志の話が、時として夫々の環境
を超え交叉し互いに忠告・提言が交わされる。
状況も年齢も志す仕事もみんな違うけど、その根の処で生きて
ゆく最前線という立位置は重なっているようだった。
あっという間に外は暗くなり7時を過ぎ、じゃあ、また、と
ちりじりに別れた。

今を生きるそれぞれの最前線。
その話が集中して面白く良い時間だった。
何時の間にかT君が手折った折り紙が2点机の上に残っていた。
理数系の大学進学で京都と札幌を受験する予定のT君は、どちら
を第一志望とするかでも迷っていた。
そして彼独自の折り紙という造型にも心惹かれている。
そんな彼がふたりの人生の先輩と話していて、無意識の内に手は
折り紙をしていたのだろう。
京都・札幌。
理数系学問・折り紙美術。
進むべき方向性の悩み・迷いが沢山有る事は幸せな事だと思う。
それがTの最前線。
高校時代に第一詩集が権威ある賞を受賞し、早稲田に進学し
今は東京で詩人として自活している文月さん。
若くして世に出たその後の悩み。
20台終わりに恋人とともにサハリンを経由し陸路で欧州に
入り、凹みと自ら名付けた彫刻を欧州中心に制作し続けてきた
谷口さん。
あらためて今、自分の彫刻と故郷で向き合い新たな展開を探る
第一線の悩み。
これらの人生を左右する今が、気張らず自然に3人夫々が吐露した
心に残る良い時間だったと思う。
そして密かに私もまたもうひとつの最前線だよ、と呟きながら参加
していた気がする。

+佐佐木方斎展「Housai’s Early works」-19月6日(火)
 -18日(日)am11時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2015-09-23 14:18 | Comments(0)


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