体内自然と地球自然の不思議な合致。
それは本当は不思議でもない気がする。
体内の水分比率の塩分は、海のそれと同じ比率だと
言うし、出産の時間は月の満ち欠け、満潮時に多い
と聞くし、きっと体内自然はもっとどこかで地球と
同調してあるような気がする。
以前医療関係の友人が腎臓は寒気に敏感で、冬の臓器
とも別名で言うのよ、と教えてくれた。
主要な臓器に季節の名前があるなら、他の臓腑にも
季節の名前が付いているのかも知れない。
早春の盲腸とか晩秋のリンパとかもあるのかも知れない。
そういえば高校時代の数学の教師の仇名は盲腸だった。
青白く神経質で少しドモリだった気がする。
怒ると向きになって甲高い声だった。
生徒の人望はあまりなく、風貌と合わせて盲腸という仇名
になった由縁かもしれない。
この年代の見方は、ドキッとするような大胆性がある。
化石という仇名の理科の教師もいた。
これもそのままの謹厳実直で潤いのない印象だった。
小柄で面倒見の良いモダーンジャズ好きの国語教師は、
苗字一字をとってスガチビといった。
この年齢位まで容姿を容赦なく仇名に例える傾向がある。
内臓を仇名にするなんて全く先見性がある、と今思う。
きっと縄文時代には、そんな大人が真面目に縄文土器など
焼いて内臓模様を入れていたのかも知れない。
時代が進み人は内臓の記憶を喪失して大人となった。
それでも性格や容貌以外の特徴を時に肩の辺りがお父さん
とそっくりなどと話す事もある。
肩も身体の一部だから、見えない内臓の形も肉親の誰かに
似ていても不思議ではない。
そういう見えない物を見得る感覚が、きっと教師に内臓の名前
を付けた年台にはまだ生きていたと、今思う。
*佐佐木方斎展「Housai’s Early works」-10月
6日(火)-18日(日)am11時ーpm7時;月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503