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テンポラリー通信

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2015年 07月 21日

瀬川葉子展「FILE」-窓(8)

5年程前20年ぶりに制作再開した瀬川さん。
その個展を見た時、家事・育児の多忙な日常の合間
ふっと見詰めた捨てられる多くの雑紙。
それらに描いたり好きな形に切り込んだりして溜まっ
た膨大な紙が壁一面埋め尽くす展覧会だった。
壁に飾りきれないものも、積まれて沢山あったと思う。
その時台所やリビングルームから、雑紙を持ってぬっと
立ち上がる台所のジャンヌダルクのような強さを感じた。

それから瀬川さんの作品はより洗練され、雑紙は光を
透かす小さな曼荼羅のように煌きさえ放つようになって
深化している。
今回の展示は掌中の光の木の葉のように一点一点が
輝いている。
透明なビニールのファイル、透明なアクリルの箱等に
一葉づつ収納された作品は、見る人が自由に手に取り
光に翳して見る事ができる。
裏から見て、表から見て、その度に作品は透かせる光に
よって変化する。
百葉ほどもあるだろうか。
どの一点も目を遊ばせ飽きさせない。
光が葉となって、紙に変わり、再び翳す光に透き通って
掌中の光の木の葉となつているかのようだ。
繊細で優しく美しい見事な作品だ。

入り口正面の作品群は淡い青で統一され、一点づつ透明
なファイルに収納され、壁に虫ピンで留められたものと
机に無造作に置かれたものとが並んでいる。
左の北壁にはプラスチックの大き目の箱にビニール袋に
容れられた他の作品が数多くあって、見る人は自由に取り
出して宙に翳して見る事が出来る。
右の南窓には、硬質で透明なプラスチツクの箱に収められた
作品が4点窓辺に立てかけられてある。
窓外の蔦の緑とこの4点は静かで美しいハーモニーを奏でて
私はこの展示が一番好きだ。

日常の掌に触れる無用となった紙片が結晶しここまで鮮やか
な作品となってきた事に逆に作家の凛とした精神の存在を
感じる。
制作を途絶えて20年、そして再開して5年。
この歳月は作家を風化させるどころか、より強靭な精神性を
開花させて今回の展示に結晶しているからだ。

:瀬川葉子展「FILE」-7月21日(火)-8月2日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-07-21 13:39 | Comments(0)


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