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テンポラリー通信

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2015年 07月 15日

通称ロスアンゼルス通り・豪邸街ー窓(5)

初日行けなかった札幌彫刻美術館展示谷口顕一郎展を
山田航さんと見に行く。
彼も作家に同行し作品素材採取に立ち会った「凹みスタ
ディー札幌」展だ。
地下鉄西28丁目バスセンターで落ち合いバスに乗り
美術館へ。
美術館の道はタイルで舗装され、谷口好みの亀裂・凹み
は見当たらない。
道の両脇は高級住宅街で豪邸が建ち並んでいる。
病院長、代議士、弁護士等の名士の自宅である。
立派な屋根瓦の本格的日本家屋もあれば、国籍不明の洋風
モダーンの豪邸もある。
その奥の一隅に本郷新のアトリエがあってその向かい角
が彫刻美術館である。
かって、冬美術館でその外庭を使い小樽のガラス工房の展示
を企画した事があった。
関西から来たばかりのガラス作家達は、雪を固めガラス
作品を嵌め込み、目ではなく手で触れる初めての雪中作業
を全身で楽しんでいた。
この冬の野外の作品展は、しばらくTVの天気予報の背景
にも使われる程好評だった。
ガラスを夏のものという固定観念から開放したからである。

それ以来だろうか、しかも夏個展を心してこの場所に訪れ
るのは・・。
館内は誰もいなくゆっくりと作品を見る事ができた。
初日に訪れたA氏が絶賛していた作品ドキュメントの映像
もしっかり見る事ができた。
展示で印象的だったのは、茨戸の旧石狩河口岡崎文吉の百年
前の自然工法コンクリートマットレスを作品化したものと
階段吹き抜けに吊って展示されたふたつの大作である。
岡崎文吉の百年前の護岸跡は、路上や壁の亀裂とは違い、
洪水からの被害を守る治水の為のものである。
その単礁ブロックは直線的なフォルムの繋がりで、従来の
谷口さんの凹みとは少し異質であるが、これが素直に造形
として美しく際立っていた。
昨年テンポラリーで個展した時にも展示されていたが、まだ
未完な部分があり、今回の展示で完成したと感じる。
もう一つの大きな作品は吊った展示の美しさである。
彼の作品は自由で奔放で、実は宙に浮く吊る展示が似合うと
以前から感じていた。
それが今回活きていると思い嬉しかった。
その他旧琴似川沿いに多くの凹みが作品化され展示されている。
どれも魅力的で谷口ワールドを形成している。
ドイツでの作品マップと作品も展示されていて、これまでの
図録の数々も揃えられ、今の時期の集大成としての展示とも
なって、彼には記念すべき節目の展示といえるだろう。

帰路久し振りに西28丁目駅まで徒歩で下った。
かって自宅が宮の森にあり、円山北町に店舗が在った頃毎朝
通った道である。
通称ロスアンゼルス通りと呼ばれる広い道には、豪邸と同じ
国籍不明の店舗・ブライダル教会・美術館が並ぶ。
朝からの猛暑でお腹も空き冷たい物が欲しくなり、この通り
の一軒中華の店に入る。
元気の良い声で迎えられ、少し待たされ奥へ。
声が飛び交い、活きが良いというより粋が無い。
何だか石油スタンドにいるような気分になった。
給油に入り出るまでのスタンドマン・ウーマンのあの元気な
掛け声である。
人間も給油という食事かと思う。
かって緩やかな丘陵に牧場が続き、川が流れ琴似村と呼ばれた
時代の面影はもうない。
そこから下りの小道も大きなマンションと思しき建物で道は塞が
れ消えて、路地裏も抜けられなくなっていた。
回り道をしてH中学のグランド裏に出てお寺の傍を抜け地下鉄
駅に出る。

谷口さんの「凹みスタディー札幌」展と豪邸と通称ロスアンゼ
ルス通りの無国籍・多国籍グローバルゾーンを同時に感受できる
小さな札幌の旅だった。
ピカピカのタイル舗装の舗道と時の経過が生む道や壁の自然の
亀裂を凹みと呼び作品化する谷口展。
対極にある価値観その両方の形象化した実物を、美術館と街路
を歩きながら経験できるのだ。
これは今札幌でしか味わえないものかもしれない。
谷口展を見た後は是非旧琴似川沿いの十二軒通りを経て歩く事
をお奨めする。
そしてさらに足を伸ばせば、十二軒ー二十四軒ー八軒と連なる
遠い時代の琴似川沿いの時代と集落の記憶にも触れれるだろう。
その経験は新幹線・札幌オリンピックへと突っ走る札幌の今を
深く対峙させて見詰める機会ともなる。

*瀬川葉子展「FILE」-7月21日(火)-8月2日(日)
 am11時ーpm7時・月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-07-15 13:25 | Comments(0)


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