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テンポラリー通信

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2015年 07月 08日

風吹いて晴れー屋根(32)

少し冷たい風吹いて、青空。
清涼な光降る日。
20度前後だろうか、湿度の低い札幌独特の夏だ。
テンポラリースペースの家屋は毬藻のように緑に
包まれている。
今は尾道に住む彫刻家の野上裕之君とみんなで
刻んだTEMPORARY SPACEの木の看板
が蔦に覆われてPAしか見えない。
8年前は細い蔓しか這ってなかった蔦が伸び伸び
と成長し家屋全体を覆っている。
人と共生する植物の力だ。

佐佐木方斎さんが来る。
絵を描く切っ掛けとなった最初に描いた色彩だけ
の作品が今も未発表で家にあるという。
これを最近久し振りに出して改めて美術の世界に
飛び込んだ自分を見つめ直した。
これを来年と言わず今年もう一度展示できないかと
言う。
長年放置していたので、ひび割れや剥落もあるが、
それはそれなりに残すものと修復するものに分け
出来るだけ在るがままで、展示してみたいと言う。
数学を選び北大に入学した方斎が、美術の世界を
志した最初の作品群である。
今この時期これらの作品を見直すのは、自分自身
の原点を彼自身が見直し発見している途上にある
からだろう。
昨年一昨年とかって発表された初期作品「自由群」
「格子群」を色彩だけで再構成する新作をここで
発表してきたが、さらにそれ以前の色彩と関わった
原点ともなる作品群があるというのだ。
長年の引越しや移動に耐えて、捨てられずに残った
20点程の作品は、それだけ作者にも愛着が濃い
ものだったのだろう。
それらを最低限の修復で、在るがまま見たいという
のは、今の彼には切実で心底な現在と思われた。
どんどん原点回帰を芯化させているな、と私は思った。
彼の代表作「格子群」「自由群」「余剰群」はともに
彼の理学系な感性が構成した作品である。
しかし絵画への本当の出発点は、色彩への関心・憧れ
がそこにあったからだ。
その時期描き溜めた作品群は未発表のまま今日まで
収蔵されていたのだ。
今その作品たちを陽の目を与えたいという気持ちは
私なりに理解できて、私自身も一度纏めてみてみたい
と思えた。
この場所の蔦の記憶とともに始まった佐佐木方斎との
付き合いも、とうとうこの最初にして最後の原点との
付き合いまできたと、ある感慨を禁じ得ない気がする。

蔦が最も紅く染まる晩秋にその時期を設定した。
これも蔦と同じ運命かも知れない。
そう思ったからだ。

+瀬川葉子店「FILE」-7月21日(火)-8月2日(日)
 am11時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-07-08 14:57 | Comments(0)


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