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テンポラリー通信

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2015年 06月 21日

下北沢でー屋根(22)

近々東京下北沢で詩人の文月悠光さんと歌人の山田航さんが
対談するという。
文月さんは札幌で高校在学中第一詩集で中原中也賞を最年少
で受賞し注目された。
山田さんは20代で第一歌集を出し、角川短歌賞他を多数
受賞し話題となった。
今文月さんは早稲田大学を卒業して東京で活躍している。
山田さんは札幌を拠点にモノローグ紀行を3年間新聞連載し
たりと様々な執筆活動を展開し、今は学士入学したH・G大学
修士論文と第二歌集の準備に集中している。
ともに札幌に深く根を下ろす才能あるふたりである。

私との関わりは、文月さんの高校の美術教師でもある画家の
S氏の個展の折り尋ねて来たのが切っ掛けだった。
それ以来同じ詩人の大先輩吉増剛造展や第一詩集の装丁画を
描いた森本めぐみさんの個展もあっても縁が深くなった。
後に頂いた年賀状に、ここは札幌の第二の実家と書かれてい
たのが嬉しかった。
山田さんとの関わりは、彼が受賞後新聞に書いたエッセイの
批評をこのブログに記した事が切っ掛けで、彼がここを尋ねて
来た事からだった。
それ以来週に2度3度と繁茂に訪れ、ここに集う美術家や詩人
写真家・音楽家たちと親しくなり、彼の第一歌集をテーマとす
る展覧会を催すまでになった。
ふたりは同時に吉増剛造展の展覧会評を全国誌に書いてくれる
など、この場所の存在を広く知らしめてくれた。

そのふたりが初めて対談するという。
第二詩集のタイトルに「屋根よりも深々と」と付けた文月さんには、
このタイトル命名に北の空気感を感じる。
雪の深い道を歩いている空気感である。
今の札幌は多くが屋根の見えないマンションやタワー系のビル群の
都会になっているが、屋根近く積もる雪の、時に紅葉の落ち葉や梢
に茂る道を想うのである。
その風景感覚は北ならではの空気感覚と思う。
同時に山田さんは、精力的に札幌を中心に知られざる土地・建物
を尋ね、そこで一首の歌を創り新聞紙上に連載してきた。
そして全国各紙・各誌上にエッセイ・批評を発表し注目されている。
彼の今取り組んでいる修士論文は、すでにそれを膨らませて書き下ろ
しを出版する予定も待機しているとさえ聞く。
この豊かな才能のふたりが、如何なる対話を繰り広げるか、
現場には行けないけれどとても楽しみにしている。

深い所で札幌に根を保つふたりが、これからも世界に羽ばたき
真にインター・サッポロな拠点として札幌とこの場が在り続け
るように微力ながら自分も他の作家共々活きたいと思うのだ。

*瀬川葉子展ー7月20日ー30日予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-06-21 17:51 | Comments(0)


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