深い色彩が並ぶ。
一見するとそれぞれが単色のようだが違う。
「格子群」の格子を取り去った色彩だけの世界だ。
そしてその色彩の色の深みが、格子の凝縮・緊迫感から
解かれて、キャンパスの中一杯に満ちている。
佐佐木方斎展「Primary Painting」展示2日目。
友人のTさんがパリへ行く日程がちょうど会期と重なる為、
先に展示を早めて今週作品を並べる。
1070年代から方斎を見ているTさんである。
今回の展示も見逃せないのだろう。
見た後電話が来て、今回の作品私は好きです、と明言した。
長い時間色んな事があっても、人は作品を通して人と繋がる。
誰よりも方斎の作品を見てきた人の一言が沁みた。
今回の作品の色のようだ。
DMはすでに刷られ送られているから、今週の展示は
非公開である。
それでも今他会場2ヶ所で展示中のY氏が来て、恒例の
テンポラリーフォトの撮影に来てくれた。
撮影しながら、時々”いいなあ~”と呟く。
”これは理屈じゃないんだよね”
同じ世代の同じ美術家同士の心の交流があった。
今回の絵画はなにか暖かさを含んだ色彩である。
蓄積された絵の具の質がそう感じさせるのだろうか。
その層の深みの柔らかさに「格子群」の成熟がある。
刺すような緊張感・緊迫感は消え、色彩だけが空気のように
漂っている。
色の殻を抜けた彩(いろ)だなあ。
一色だけど一色ではない。
多色だけれど一色の内面が顕れた多色。
明日以降この浮遊する色彩と対話しながら、まだまだ言葉を
探す内なる対話は続く。
*佐佐木方斎展「Primary Painting」6月2日(火)
-14日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503