テンポラリー通信

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2015年 05月 22日

屋根と空ー斜道(34)

小樽で藤森茂男の遺作他を見て通りを歩く。
外人坂を上り水天宮に着く。
急坂の向こうに海が見える。
海・坂・空・屋根・・・。
近景と遠景が坂を伝って織り込まれるような風景だ。
地図を見ると幾つもの通りがある。
通りが生きているのだなあ、小樽はと思う。
最近通院で電車と地下鉄を乗り継ぐ事が増えた。
そのふたつの公共交通の違いは風景だ。
市電の方が狭くて遅いけれど、窓外を流れる風景が
人を落ち着かせ優しくすると感じている。
地下鉄の窓外は遮断された地下トンネルで、人はみな
自分の内側に閉じる。
その閉じた分だけ人は自己の殻に閉じ篭るのだ。
そして自分の殻の中で自己中心のタワーやプラザのよう
に自己ファシズムになってゆく。
その中心にあるのが今多くの若者が手にしているスマホ
の存在である。
この時スマホは唯一の小さな彼らの窓である。
最近私はそうした片時もそこから目を離さない姿を見て
思うのだ。
移動・移住・移民の<移>は、もうすでに<写動・写住・
写民>の<写>となりつつあるのではないか、と。
屋根が消え、空の広がりが喪われ、ビルの壁と地下通路の
電飾の壁が支配する都市風景の中で、電気の小さな窓に写
る外界の情報のみが外窓である。
自己は生きた外景とは繋がらず、五感の指先と目だけが
外部の情報を支配する。
自己は、狭い視界に限られ自己タワー化した自己中の世界
に閉じるまま肥大化する。
やがてそれは自己ファシズムのようになり、他者を排撃す
る事にも繋がるだろう。
そんな近未来がもう、訪れているようにすら思うのだ。

*佐佐木方斎展「Primary Painting」6月2日(火)
 -14日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2015-05-22 15:08 | Comments(0)


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