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テンポラリー通信

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2015年 05月 17日

春と冬のポプラー斜道(31)

ほぼ定刻通り及川さんと山田さんのライブが始まった。
狭いながらも満席の会場で、緩やかにトークが続く。
茨戸に立つ二本のポプラをテーマとするふたりの詩が紹介
され、山田さんが及川さんの詩を朗読し、山田さんの詩を
及川さんがメロデイーをつけ、唄う。
実際に歩いた風景そのものを歌にするのは難しい。
風景それ自体が詩であるからだ。
ふたりの歌を聴いていて、そんな物足りなさを感じていた。
本命は茨戸のポプラを離れてふたり自身の話になって、語ら
れ歌われた時だ。
山田さんは自身の長い詩を詠み、及川さんは京都の詩人の
詩に作曲した歌を唄った。
この時二本のポプラが揺れていた。
春のポプラと冬のポプラが・・・。
茨戸のポプラではなく、ふたり自身がそれぞれのポプラの
ようだった。
春と冬の二本のポプラは寄り添って、茫々たる原野が広がり
、風も川も原野も爽やかに流れていたのだ。

「何も決めてはいないけど、山田さんとのこうしたライブは
今後も続けます・・」と最後に語った及川さんの閉めの言葉
が、総てを語っていた。

表現とは何だろう。
一本の樹木。
それ自身、その存在感がもうひとつの表現なのだ。
人はその樹木から、霊感のように体内へその存在を受け止める。
霊感はスピリットとなって、再び表に顕れるのは熟成という時
間が必要だ。
ふたり自身が以前に創った作品を歌い朗誦した時、その立ち姿
はあのポプラのように体内から溢れ立ち顕れたのだ。
二本のポプラの精が、ふたりの創造の樽に仕込まれたのを目撃
したと、私は思った。
冬のポプラと春のポプラは、その季節の違いを感じさせつつ
最後には寄り添うように同じ時代に立つ二本のポプラであった。
この同時代性こそが、あの茨戸の二本のポプラも含めた、美しい
ふたりのライブだったと私は思う。

*佐佐木方斎展「Primary Painting」6月2日
 (火)-14日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-05-17 14:23 | Comments(0)


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