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テンポラリー通信

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2015年 03月 19日

便り有りー歩行(17)

フランスから帰国したばかりの吉増さんから便りある。
現代詩手帖3月号の山田航さんの吉増剛造展に関する文章を
読み絶賛の言葉が踊っていた。

 十日程仏蘭西へ。「水機・・」舞台版にて、驚きのようなものが
 湧き上がっていたようです。・・・・
 戻って初めて山田航氏のこれ以上のバランス感覚は考えられよう
 がないと感じさせる、深い滋味掬くすべきとてもいい文章に接し
 ました。こんな佳文が書けるひとはそういない・・われらも倖せ、
 スタッフもみな・・・でした。いいなあ!

この文章は私も出版されてすぐ読ませてもらったが、昨年暮れか
ら今年初めまで展示された吉増展評は前半3分の1程で、残りの
3分の2は私と吉増さんの交渉史とその分析に充てられていた。
3年ほどの交流で山田さんは実に深くよくみているなあ、と感激し
ていたが、一方の吉増さんがどう感じているかは未知だったので
なんらかの反応があるまであまり触れずにいた。
それが今日フランスから帰国し最初に読んだ感想を頂いて嬉しく、
私も<倖せ>を感じた。

最近遠い昔の路傍の少女を思い出し、それがごく最近の路傍の少
年と重なっている事の原因を思っている。
共通なのは私自身が精神的に素裸のような歩行の状態にあった事だ。
若年で心が素裸だった時と全てを無くした老年の心の素裸。
そうした素裸の精神で歩行している時周囲に若い年齢の友人が
顕れてくる。
そんな気がしたのだ。
かっての友人達はそれ相応の社会的地位と肩書の中にいる。
それはそれで立派な仕事をやり遂げた結果である
そんな友人たちの多くは今は疎遠である。
それに換わるように山田さんのような若い友人が多い。
これは私が素裸に近く為れば為る程近づく友人の年齢も下がる
という現象である。
不思議だなあ、遠い昔の少女の記憶と重なって自分自身の生き様
が見えてくる。
そんな中で近い年齢の同時代人として吉増さんとの交流が嬉しい。
今回の便りは直ぐ山田さんにも伝えた。
嬉しいです、と即返事が来た。
書いた人も幸せ、読んだ人も幸せ。
素裸に近く心が通うのは、今を生き抜いている歩行の証しだ。

 ・・・われらも倖せ、スタッフもみな、。いいなあ!

吉増さんがあの少年のように見えてきた。、
今度こそ、珈琲でも飲むか、みんなで一緒に。。。、

*高向彩子書画展ー3月24日(火)-4月5日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休。
 テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


 
 

by kakiten | 2015-03-19 16:06 | Comments(0)


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