ベルリンの谷口顕一郎さんより便りあり。
新聞社から先日私が書いた谷口さんの新しい地下広場に設置さ
れた作品の文章記事が届いたという。
すごく喜んでくれて嬉しかった。
特に奥さんの彩子さんのシベリア旅日記を軸にして書いた事を
喜んでくれた。
そりゃあ、そうだろう・・と冷やかしたいが、本当の事実だ。
紛れも無くケンひとりでは、あの旅の意味は深まらない。
分厚い彩さんの日記が公表されなければ、シベリア大陸横断の
息遣いは伝わらなかっただろう。
そして体験は時とともに風化し薄められるものである。
文章はその風化を防いで、さらに時とともに深化するより本質的
な意味を経験させてくれるからだ。
直接体験しない私のような第三者も包み込んで。
当事者自身も今の時点で体験をより深い経験として見詰め直す事
が出来る。
それは空路の移動の旅ではおそらく適わぬ消去となる経験なのだ。
19年経ってさらに新たな再発見を感じる旅。
そして今に繋がるターニングポイントのような旅。
その事実が当事者にもとても新鮮で嬉しい事だったに違いない。
精神的にあのシベリアの旅を往路とすれば、今回の帰国と展示の
旅路は復路であり還路でもあるだろう。
還路が例え空路であっても往路の本質が深く内側に生きている。
今その意味をさらに深く受け止めて次なる札幌彫刻美術館での夏か
らの個展に生かして欲しい。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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