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テンポラリー通信

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2015年 02月 26日

橋を渡ってー歩行(1)

月に一度の検診で中の島のJCOH病院へ行く。
路面電車で幌南小学校前まで行き、そこから南22条大橋
を渡る。
堤防に沿って歩けば病院に着く。
心電図・レントゲン・採血をして担当医の診断を受ける。
異常無しでまた一月後。
心腎一体で腎臓の治療に心臓の検査も欠かせない。
腎臓が悪い時は心臓も水が溜まり歩行も重かった。
運動した後の息絶え絶えのような感じである。
下校時の少年に”珈琲でも飲むか"と下から見上げて声をかけ
られた年末の病院へ歩いて行った時がそうだった。
気持ちはそう弱ってはいなかったが、傍目にはそういう状態
だったのだろう。
今でも時折あの時の少年のませた肩に手を掛けんばかりの姿
を思い出す。
そして病院近くで自転車で私を探していてくれた看護婦さんの
天使のような姿も思い出に残る。
中の島の病院は大きな総合病院で食堂が気に入っている。
学校の学食のような庶民的な感じで、定食が美味しい。
むら無く栄養もとれて量も丁度良い。
長い待ち時間にうんざりしながら、定食を食べて元気をつけ
川向こうの腎臓治療の病院へ向かう。
来た時とは逆に橋を渡り市電停留所から一駅の南19条を目指す。
この橋は大きな橋だが上に構造物のないフラットな構造である。
従って遠目には橋が見えない。
一度はるかに南寄りの上部が目立つ形のミュンヘン大橋を渡って
、随分遠くまで行ってしまった事がある。
地図と磁石で確認してその後は間違えなくなった。
橋を渡ると川は増水して大きな流れを見せている。
冬の終わりが水の流れに漂っている。
冬の骨が融けて肋骨のように揺れている。
皮膚よりも骨の硬質さが未だ残る冬の末の姿だ。
陽射しは小春日和だが、水も空気もまだ冬の冷たい骨だ。
季節は光から徐々に水へ空気へと及んでくるのだろう。
歩行は快調で健康時の7割くらいだろうか。
昨年末病院へ着いた時はあの院長先生に健康時を百とすれば三
だと一喝された。
本人の自覚は3でなく4割だったから、素人判断は恐い物知ら
ずである。
展覧時会中だったから気力の面もあったのだろう。
あの時声をかけてくれた少年は直感でその健気さを見抜いていた
のかも知れない。、
医者と少年と看護婦さんには感謝である。

長い橋を渡りながら大きな川の肋骨のような波を見て、命の境界
を越えて来た時間を思っていた。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2015-02-26 13:37 | Comments(0)


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