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テンポラリー通信

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2015年 02月 05日

折り畳まれて鎮座ー道行き(23)

通院途中新しい地下歩行空間の広場に設置された谷口作品を
見て来る。
天井から自然光の入る良い空間だ。
しかし作品は畳み込まれて鎮座しているようだ。
札幌を代表する公共空間なのだから、おとなしく鎮座するの
も仕方の無い事なのかもしれない。
オランダの司法省の大ホールに設置された作品と比べると、オ
ランダの方は天井から吊るして下のどの方向からも見える変化
がある。
そして亀裂の形象が奔放で強烈である。
札幌地下空間のものは、折り畳まれて鎮座しておとなしい。
あの路上の切れるような亀裂・凹みの強烈なエネルギーは
蝶番で折り込まれその凶暴な奔放さを閉じている。
同じ公共空間でもそのモニュメントの位置づけが違うようだ。
衛生・安全・秩序を重んじる日本の公共概念とオランダの時間
を記録する歴史概念に裏付けられた公共との相違だろうか。
その相違は展示の有り様にも表れている気がする。
思えばアスファルトの下に塗り込められ暗渠化した川の地層
と人間の歩行の為の地下歩行空間とは対極の立場にある。
川の立場に立てば、埋め立てられ人工的な地下水路に変えられ
蛇行はコンクリートの直線水路に押し込められたのである。
一方同じ地下でも地下歩行空間は人が雨風を避け快適に歩行す
る通路なのだ。
かっての川の記憶が頭上のアスファルトを押し破って地上に顕れ
るその自然の強烈なエネルギーが、路上の亀裂となりある奔放な
形象を生む。
その路上に顕れるまでの時間やエネルギーを作品として展示する
場の本質的な相違がそのまま展示にも現れているのである。
オランダでは司法省の建物のそれまでの移転を含めた歴史を主題
にこのモニュメントが創られたという。
設置場所と作品が深く関わって展示されている。
その結果オランダ司法省の作品は、伸び伸びと自由に横7・5m、
奥行き4・5m、総重量2トンの雄姿を天井から宙に浮いて展示
されている。
司法省というお堅い場所の安全性もなんのその、このモニュメント
は活き活きとしてこの場所の歴史を訴えるのだ。
一方札幌では歴史や文化という視点よりも、より装飾的なお飾り
の要素が強く感じる。
それが鎮座という印象を見る者に与えるのだ。
地下深く蓄えられていた自然のエネルギー。
その凶暴とも思える亀裂の力を逆にもっと自由に奔放に展示でき
たら、地下歩行空間との対比においてもっと面白く存在できたか
と思っているのだ。

あの腐れ雪の下から黄金の燃える黄を顕す福寿草の根のようにだ。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



by kakiten | 2015-02-05 13:16 | Comments(0)


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