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2014年 11月 26日

低い位置ー街灯・霜月(9)

山里さんと来訪者の談笑が絶えない。
同じ目線で熊談義が続くので、通常の個展とは
違う気易さもあるようだ。
様々な木彫りの熊を通して、同じ方向の目線で
語り合い、時が流れる。
熊、恐るべし。こんな造形物が他にあるだろうか。

たかが土産物という低い位相から、実は幅広く
人種を問わず性別年齢を問わず人と繋がる存在と
して木彫りの熊がある。
彫刻としての優れた木彫の優劣も勿論話題の要素に
はなっている。
その彫刻としての技量への尊敬もまた話の促進剤
になっているのだ。
三百点を超えるコレクシヨンの中から選ばれた30
体ほどの木彫りの熊。
その秀逸な作品力がまた人を惹きつけて話に力を与
えている。

木彫りの熊の位相と同じ病という低い位相から社会
に触れると人の見え方が少し違って見えてきた。
同じ人の群が市電と地下鉄でも違う。
人間が潜在的に保っている様々な回路。
それが見えてくる。
健康な時自転車で経験していた世界との回路。
その時感じていた歩行の街との違いが、今はまた
違った見方で街の人を見ている。
週3回長時間の通院を重ねて治療を続け、様々な
福祉保護を受ける身となって見えてくる弱者の位相
に表れる人の世界があるのだ。
その優しさと友情、その冷たさと傲慢さの在り様は
健康な時には見えなかったものである。
熊にも似たような位相がある。
今まで家の片隅に見捨てられていた低い存在が、忘れ
られない時代の象徴として今を照らす。
その思いがけない喜びが人の心の胸襟を開く。
病にも時として同じ事が起きるのだ。
弱者だからこそ開く世界もある。

そんな風に木彫りの熊との同時共感を感じている。

*山里稔と木彫りの熊展ー11月30日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*吉増剛造展「水機ヲル日・・・」-12月9日ー1月11日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2014-11-26 13:47 | Comments(0)


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