久し振りに晴れて青空広がる。
夏の年の終わり、冬の年の始まりの境を蜻蛉が飛ぶ。
いつもの自転車道、琴似川に界川と円山川が合流する辺り。
今は暗渠の環状線沿いの道だ。
競馬場と卸売市場が繋がって高層ビルのない平坦な広がり、
遠くの山並みまで見渡せる空間となっている。
風が流れ緩い起伏が続く。
空中を風が流れるように、地上にもかって水が同じように
流れていただろう。
その風に乗って僅かな雨の後の水溜りに命を繋ぐ蜻蛉がいる。
束の間の聖水のように、一対の命紡ぐ蜻蛉。
ふっとテンポラリーだなあ、と思う。
とりあえず、一時の命を育む水溜り。
決して堂々とコンテンポラリーと胸を張るようなものでない。
暗渠の見えない川、本来流れているはずの水を信じて命を繋ぐ。
その在り様が蜻蛉と重なって想うのだ。
とりああえず(テンポラリー)が同時代(コンテンポラリー)へと
深化するか否かは判らない。
ただ目の前の本来在るべき川、水の流れに向かって命を注ぐ。
それがすべてである。
青空の下風が流れ、山並みが広がり、水が光る暗渠の道で、
蜻蛉の命を繋ぐ姿にふっと共感してそんな事を思っていた。
*中嶋幸治展「風とは」-9月23日(火)ー10月5日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
*メタ佐藤写真展「光景」-10月7日ー19日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503