澄んだ光と風が燦々と降り注ぐ日。
ふらりと故村岸宏昭君旧知の青年が入ってくる。
ここを訪れるのは7年ぶりという。
映像作家大木裕之氏とも縁ある人のようで、高知にも
滞在していると言う。
村岸の追悼本を購入してくれて、暫し彼の話をした。
聞けば本人は北大出身で自ら歌と演奏を続けていると
いう。
今日の天気のように透明感のある好青年だった。
札幌市環境局主催で岡崎文吉展が時計台で始まった。
山田航さんの短歌作品や谷口顕一郎さんの茨戸の
岡崎式護岸マットレスをテーマとした作品も展示され
ているという。
来月10日には例の1999年STV40周年記念番組
も再上映するという。
ここで約1年前に発掘した映像が再び岡崎文吉とともに
日の目を見る事はとても嬉しい事だ。
百年前からこの地において、人間が如何に自然と向き合
ってきたかを先人の知恵とともに見詰める良い機会である。
ひとりの人生、ひとつのテーマを深く掘り下げてこそ見え
てくるものがある。
川の蛇行を基本にして護岸を考えた岡崎文吉の自然工法
の理論原理は、現在の護岸だけではなく街路にも通じる
都市論にも繋がり、文化の問題として問い返されるべき
ものだ。
ショートカットが主流の文化風土は近代も今も変わらず
君臨しているからだ。
この斜め通りをふらりと立ち寄った青年のように、人も
また本来蛇行するぶらぶらぶらりが必要なのだ。
*中嶋幸治展「風とは」-9月23日ー10月5日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503