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2014年 08月 08日

<住>という事ーポプラー・葉月(6)

百年程前に入ってきたポプラの樹木が根付いて風景を創る。
人間もまたそのようにして街という風景を創る。
移動から移住へ、移住から移民へ、それは街と文化を生む。
ポプラ前の時代には銀杏の樹もまた移住者が持ち込んだ
樹である。
古いお寺や神社、旧家の庭にはこの銀杏の樹がある。
火災や防虫に強い事から守護としてあったという。
ポプラはきっとその立ち姿が開拓の志に合って好まれた
のだろう。
岡崎文吉が<ポプラー>と漢文の中にカタカナで記して
いるのを見ると、当時としては非常にモダーンな響きを
もってこの樹はあったように思える。
岡山県から札幌濃学校に移ってきた岡崎文吉にとって、北
の自然とヨーロッパから入ってきたばかりのこのポプラの
樹はどちらも新鮮なものであったに相違ない。
北大には観光名所としてこのポプラ並木があり、今では
札幌を代表する風景のひとつともなっている。
移動してきた樹は土地に住み着き風景となったのだ。

人間もまた移動から移住へと時を重ね、固有の街という
風景を創ってきた筈である。
しかし時代は物流というグローバリズムの波の中で、個々
の<住>を切り崩し<住>という地軸よりも<移動>と
いう目まぐるしい物流の移動軸に晒されて今がある。
移動してきたポプラがひとつの風景という文化を創った
ように、人間もまたそこに固有の風景という街の文化を
創らなければならない。
<移住・移民>の意味は今こそ問われているのだ。
<移動><移住>がただの侵略・侵食ではなく、新たな
文化を生むかどうかは偏に文化芸術に関わるものの責務
といえるだろう。

今回の斉藤周展の眼目もそこに触れている。
彼は彼の内なる<住>を作品として形象化し、息づかせよ
うと試みている。
しかしそれはポプラでも銀杏でもなく、地衣類のような
より低い位置に凝縮するものに私には見える。

*斉藤周展「日々の形状」-8月10日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
*及川恒平×山田航ライブ「声」-8月16日(土)午後5時~
 2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel.fax011-737-5503
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by kakiten | 2014-08-08 13:53 | Comments(0)


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