アイヌ語で見渡すを意味するインカルシベの名をもつ藻岩山。
その山頂より展望した風景の変化を岡崎文吉は記していた。
沿岸樹木に遮られ、其の流路を認識することを得ざりしと云う
この自然がすでにこの時代において如何に変わって言ったかも
記している。
・・・目前の利益の為、永遠の利益を犠牲にし、徒らに沿岸の樹木
を伐採し、叢秦を除去し、治水上最も留意して原生林の儘に維持す
るを要する堤防敷地を無視して、地表を剥奪し、開墾を進め、あまつ
さえ侵墾の極度に於ては、河岸傾斜地付近の笹類及柳樹を伐採する
に至り、全く昔日の光景を一変せり。
その結果山頂よりの展望は、川の流路が露出して
水天相映するを視るを得へし。
と記している。
この自然破壊に対し治水上の観点から植樹を奨励し、その中で普通
耕作区域の境界線に「ポプラー」を挿植したという。
私達があの茨戸の旧藤田農場跡で見たポプラの樹は、正にその境界
線の樹だったと思う。
ポプラの向こうには旧石狩川が流れその川岸に岡崎式コンクリート
マットレスの護岸跡が広がっているのだ。
川の自然の蛇行を基本として、ショートカットに走らず、河岸の樹
木も自然の護岸として大事にした岡崎文吉の自然工法は今も私達の
心に響く何かを保っている。
<ポプラー>という言葉が届ける響きは、そんな時を超えた魂の声
でもある。
*斉藤周展「日々の形状」-8月10日(日)まで。
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2500円
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fac011-737-5503