かっておもちゃ箱をひっくり返したような、気侭で自由な
作品空間を楽しそうに描いていた最初の個展。
白い壁にも直に描き込んで、斉藤ワールドは自由気侭な
万華鏡のような世界だった。
足の向くまま、気の向くままぶらぶら散歩するように
絵札も伸びていた。
その小さな快楽的小宇宙が散逸からある求心的な画面
構成へと3年前の個展から変化し、今回は煮凝りのよう
なさらに凝縮する画面へと変化している。
さらに展示構成を初日から大幅に変えて、気侭に散策する
ような作家本来のリズムの中で、作品はまるで煮凝りから
葛餅のように柔軟で上品な流れを生んでいる。
煮凝りー葛餅ーテリーヌと作品の動きが始まっている。
そのコアにあるものは静かなある現実への怒りであり、これ
までこの作家が遠ざけていた現実への直截な感情である。
作家の持ち味である上品さ、その品の良さはベースとして
変わらず保ちながらも、ある怒りというメッセージ性が
作品の気侭で奔放な視線を禁欲化して、ある凝固のような
ものを生んでいるのだ。
絵を描いて自らの玩具箱で小宇宙を創っていた世界は今
消えようとしている。
函の外に通じる怒りという回路を作家は今掘り進みつつ
あるのだ。
作家は作品と共に生きている。
この先テリーヌ斉藤周は、如何なる核爆発をみせるのか。
そうした予感に満ちた今回の展示だと私は思う。
+斉藤周展「日々の形状」-8月10日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
*及川恒平×山田航ライブ「声」-8月16日午後5時~
2500円
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503