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テンポラリー通信

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2014年 08月 02日

日々の形状ーポプラー・葉月(2)

朝、開廊前に着くとすでに斉藤周さんが会場にいる。
早朝から来て作品の展示を変えていたという。
1,2階の作品構成が大きく動いて変わっている。
一点一点の今回の凝縮する画面は変わらないが、作品の
大小を含めた配列に大きな動きが出て、ある流れのような
躍動感が会場に生まれていた。
「日々の形状」というタイトル通り、正に一日にして
同じ作品が蠢き出しているようだ。
作品の内に在る距離を詰める凝縮するものは変わらないが、
作者の視座自体は身体としてもう身動ぎを始めている。
個展という場ならではの良い意味での緊張感とその反応・
変化なのだ。
緩やかに所在無く気儘に散華するような散策の視線が、
万華鏡のように空間を彩っていた最初の個展。
そして風景の中央に背中だけを見せている求心的な印象
の後姿のある作品。
これらの要素がひとつの固まりのように凝固して散乱も
せず、人の形も消えて家のような凝縮した方形の内に
煮凝りのように重層している。
初日の展示ではその作品配列が直線的で作品構造と同じ
リズムだったが、その単純さを今日の展示変えで打破し
本来の散乱する気ままで自由なリズムを付与したといえる。
付かず離れずの距離を保つ作家の身体の動きがこの散乱
する視座の位相でもあるからだ。
視線は凝固しつつ身体は散策し一直線ではない。
視座の求心性と身体の所在無い散乱性。
時に相反するこのふたつの行為が今後どう止揚されて作品
に顕われるのか。
それは静かな怒りとでも呼ぶべき今回の凝視に見られる
対現実との闘いの在り方によって決まっていく事と思う。

*斉藤周展「日々の形状」-8月10日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*及川恒平×山田航ライブ「声」-8月16日(土)午後5時
 ~2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-08-02 14:03 | Comments(0)


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