朝、開廊前に着くとすでに斉藤周さんが会場にいる。
早朝から来て作品の展示を変えていたという。
1,2階の作品構成が大きく動いて変わっている。
一点一点の今回の凝縮する画面は変わらないが、作品の
大小を含めた配列に大きな動きが出て、ある流れのような
躍動感が会場に生まれていた。
「日々の形状」というタイトル通り、正に一日にして
同じ作品が蠢き出しているようだ。
作品の内に在る距離を詰める凝縮するものは変わらないが、
作者の視座自体は身体としてもう身動ぎを始めている。
個展という場ならではの良い意味での緊張感とその反応・
変化なのだ。
緩やかに所在無く気儘に散華するような散策の視線が、
万華鏡のように空間を彩っていた最初の個展。
そして風景の中央に背中だけを見せている求心的な印象
の後姿のある作品。
これらの要素がひとつの固まりのように凝固して散乱も
せず、人の形も消えて家のような凝縮した方形の内に
煮凝りのように重層している。
初日の展示ではその作品配列が直線的で作品構造と同じ
リズムだったが、その単純さを今日の展示変えで打破し
本来の散乱する気ままで自由なリズムを付与したといえる。
付かず離れずの距離を保つ作家の身体の動きがこの散乱
する視座の位相でもあるからだ。
視線は凝固しつつ身体は散策し一直線ではない。
視座の求心性と身体の所在無い散乱性。
時に相反するこのふたつの行為が今後どう止揚されて作品
に顕われるのか。
それは静かな怒りとでも呼ぶべき今回の凝視に見られる
対現実との闘いの在り方によって決まっていく事と思う。
*斉藤周展「日々の形状」-8月10日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
*及川恒平×山田航ライブ「声」-8月16日(土)午後5時
~2500円
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503