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2014年 07月 23日

蔦の移動ー水系・文月(12)

藻のように壁一面に茂った蔦が身を震わせ種子を
散らし始めた。
薄緑の種子が地上に散乱している。
移動の季節なのだ。
風に乗り他の物に付着して、新たな天地へと命が
動く。
そしてその内の幾つかが移住を成し遂げ、新たな
生活の場を生むのだ。
移動から移住へ、移住から移民へと植物もまた人間
と同じように世界を広げて生きている。
移動という横軸の変化は、移住という縦軸の発酵の
時を深めやがてその地に生のランド(故里)を創る。
蔦の壁は蔦の小さな森であり、蔦の村、故郷でも
あるのだろう。
人間も人類発生以来きっとそうして生きてきた。
移動と移住と移民を成し遂げ国家や都市を形成し、
また動いてきた。
移動とは、<住>という根を張る場を得る為の行為
であって、移動そのものが自己目的化されるものでは
無いはずだ。

電力会社へ支払いに行って、そのビルへと続く長い
地下通路を歩き感じた事は、移動が主体の構造として
街が構成されているという事だ。
そこへ至る地下鉄そして地下通路そして電気という
移動エネルギーの帝国。
そこに<住>の垂直軸はなく、<動>が途切れる時に
多分死に近い断絶が訪れるような空間なのだ。
常に移送し動いて生きるもの。
海のある種の魚のように、止まった時は死の時である
、そんな世界が都市の中にはある。
生物の多様性として移動を主に生きるジプシーのような
民族も存在を否定されるべきとは思わないが、多くの
植物のように移動→移住→移民という横軸から縦軸の
流れの中で芸術・文化の固有の森を考えたいと
私は思う。

*谷口顕一郎展ー7月27日(日)まで。am11時ーpm7時
*斉藤周展「日々の行状」-8月1日(金)-10日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2014-07-23 12:41 | Comments(0)


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