桜が散り出し、桜吹雪。
そんな時南円山の洋館旧桂田邸サクラムーンが完全に
消えた。
2階建てで庭に桜の木が立っていたカフエレストラン。
この桜の木に因んでサクラムーンと名付けたと聞いた。
ここに来る前は円山裏参道にあって、そこから見える
夕陽が赤く美しいのでトマトムーンと名付けたと聞く。
円山地区が札幌の裏参道・原宿とか騒がれてマンシヨン
化が進み夕陽が見えなくなって南円山に移転してサクラ
ムーンとしたという。
かって田上義也設計の瀟洒な洋館が多くあった円山の
住宅地。
西方の森や山に近い閑静な住宅地と琴似街道沿いに
市場の繋がる農の産地でもあった住と食の豊かな土地
でもある。
同時に札幌で一番古い由緒ある墓地もあって、著名な
人たちも多く葬られている。
その円山の裾野に広がった墓地を横断して五輪の為の
道路が造られ墓地は分断されて、サクラムーンのすぐ
傍まで環状線が延びてきていたのだ。
明治時代天然原始林に指定され保護されてきた円山の
自然林に近く閑静な環境にあった洋館は、この時から
もうやがて消えるべき運命にあったのかも知れない。
高速で走る環状線には同じ直線の高層マンシヨンが
つり合うのである。
街の構造が変われば風景も風土も変わる。
サクラムーンに象徴されるような近代モダニズムの
風景は札幌の住のゾーンにもかって在って市街地の
シテイ・タウン層とも響きあって存在したのである。
そうした文化の土壌を根こそぎ掘り返し現代という
時代がある。
トマトのような真っ赤な夕日がカラスとともに山の
向こうに沈むトマトムーンと名付けたような風景は
遠くに消えて、夕日の代わりに桜を見詰めサクラム
ーンとしたロマンももう消えて、何も無い広い更地
が今は広がっている。
そしていずれまた、視界から山を消し夕日を消す高層
ビルが視界を覆う場処となるのだろう。
現代とは<都市と自然>ではなくて、<都市×自然>
の葛藤に在るのではないのか。
+八木保次・伸子追悼展ー5月11日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
te;/fax-011-737-5503