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テンポラリー通信

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2014年 04月 29日

花を活けるー光陰・卯月(19)

今は無人となり誰も住んでいない八木さんの家。
華道家で俳人でもあった八木保次さんの母上敏さん
が生前建てられ、保次さんと伸子さんの3人で住ん
でいた私には思いで深い家である。
当時この山の上の八木宅の下の方に私の家もあって
よく遊びに行ったのだ。
その3人の名前が敏さんの筆で彫られた表札が残され
ていた。
無人の空き家に歳月を重ねてとり残されていたそれを、
私は遺族の方にお願いして譲って頂いた。
それを今回の八木保次・伸子追悼展にそっと添えて展示
している。
その事もあって敏さんも偲び会場に花を活けてもらおう
とお花をするMさんに頼んでいた。
今日Mさんの休みの一日お花を活けて頂く。
札幌の南に広がる豊平川の中洲中島公園近くで敏さんに
育てられた保次さんは、三岸好太郎などと同じ薄野遊郭
界隈近くに生まれたタウンボーイである。
敏さんも花街育ちの粋な方であった。
この界隈の生まれの人には、歌舞伎学の権威であった
早稲田大学名誉教授の郡司正勝さんなどもいて、粋で
モダーンな人が輩出している。
私の生まれた駅前通の文化とはまた一味違うゾーンで
あるのだ。
札幌の浮世絵の世界、歌麿的世界でもあるのかもしれ
ないと感じている。
事実八木敏さん、保次さんはそうした粋な面影を保つ
親子であった。
伸子さんの実家は私の生家にも近く都心の医師の家で
病院長のお嬢さんであった。
僅かな距離だが出生の場所の違いは、どこか肌合いの
違いとしてあったように思う。
具象でお花をよく画材にした伸子さん、抽象で色彩を
主に天衣無縫な表現の保次さん、活け花と俳句で優れた
指導者であった敏さん。
この3人を繋ぐものは風情ある竹の表札と同時に、札幌
の花でもあると私は感じていた。
今やっと花の季節を迎えようとしている今日、Mさんの
花を添えて、3人の優れた札幌人を偲ぶ縁としたい。

*八木保次・伸子追悼展ー5月11日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-04-29 13:11 | Comments(0)


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