昨日までの冷たい北風が消えて、やっと春風が来た。
光と風が透明で穏やかだ。
隣国の海難事故の報道に心痛む。
大量輸送の物流偏重がその原因にあるように感じる。
人の命を運ぶ安全よりも多くの物を運ぶ効率の重視。
船が悲鳴を上げて堪らず転倒したかに思える。
一度に多くの物を移動させる効率的で便利なもの、
それらに囲まれて私達の社会は在る。
あらゆる大量の人・物を運ぶ交通媒体。
あらゆる大量の情報を流す通信媒体。
あらゆる消費物質を並べる店舗媒体。
すべてに大量の物流がひしめいて、個々の命の価値
を基準にはしていない偏りがある。
そんな社会構造の中で起きたかのような海難事故は、
他人事ではない同じ社会構造の問題という気がする。
大量に閉じ込められた修学旅行生を想う親達の悲鳴が
ひっくり返った巨大な船の影の波間に響いている。
巨船を高層ビルに、列車に、地下鉄にその他ありとあら
ゆる大量移送の媒体に置き換えれば、同様の構造で悲劇
は想起しうる気がするのだ。
個に根ざした文化の根もまた然りである。
その地域、そこに生きる個の生命を主軸として分野の
量的拡張などに目を眩まされてはならないのだ。
物流だけが量数を優位に置いている訳ではない。
心流もまたその構造に毒されている。
心流とは、突き詰めれば文化の根幹、個の生命に根ざす
人生の問題だ。
一本の木のようでありたいと願う。
一樹は一樹を全うし、多樹たる事を考えない。
樹は森となるが、一樹はあくまで一樹である。
*八木保次・伸子追悼展ー4月22日(火)-5月11日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503