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テンポラリー通信

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2014年 03月 27日

ぬかるむ道ー拠点・弥生(16)

雪融けが進み乾いた路面が顔を出す。
しかし裏道はザックザクジャパン。
緩んだ雪道が不安定に続く。

先日溜まった新聞を収集日に纏めて出す為束ねていた。
その中にふっと目に付いた今年4月16日公演予定の広告。

 現代のベートベン!待望の札幌公演決定!

 全ての聴力を失う絶望と、絶え間ない耳鳴りの苦しみの中
 佐村河内守が完成させた交響曲第一番 ヒロシマ。
 ・・・混迷する現代に生きる人々の共感と感動を呼ぶ

札幌コンサートホールkitaraの宣伝広告である。
あの謝罪会見やゴーストライターの告白会見前の広告なのだ。
すでにB席は完売の文字が躍っている。
あの謝罪会見時とはまるで違う嵐が丘の主人公のような横顔が
載っている。
その紙面を見ながらあの謝罪会見で感じた薄気味悪さを再び
思い出していた。
メデイアが増幅して届ける情報とその真実・事実との乖離。
そうした類の構造的中身が、生身の人の顔をして現れたような
薄気味悪さである。
国内有数の音響設備を備えた音楽の殿堂キタラでこの作曲家の
大演奏会が予定されていたのだ。
この立派な箱では来月4月16日に実作者の告白が無ければ
そのまま堂々と公演されていた事だろう。
しかし考えようによっては、作曲家の顔を見るのが目的ではなく
誰がどう作ろうとその作品が本当に良いものなら、曲は演奏さ
れるべきである。
問題は作品そのものを問うのではなく、その作家の在り様を
増幅しそこを形容的に修辞化している事だ。
この包装紙と中身の乖離のような虚実構造は、実に食品・交通
・理科科学から文化全般にまで及んでいる。
氷山の一角のように各分野各界での謝罪会見がこの半年間に
続出している。
表書きのメニューが先行して増幅され、内実を成す事が軽視さ
れる。
この構造に追い風を与えているのが、ある種のメデイアの増幅
行為である。
こうした危機は謝罪会見として顕れたものを氷山の一角として
より構造的に潜在化して在ると見抜かねばならない時代にいる。

足元がザックザクジャパンは雪解け道とサッカーだけで良い。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-03-27 15:29 | Comments(0)


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