ザックザックと雪の緩んだ路面を歩くと、
日陰は凍って固く滑る。
明暗も冷暖も斑な冬の末の道。
気化熱が路面の温度を下げるのか、吹く風は冷たい。
白い路面は黒く汚れて、春というより冬の末の斑(まだら)
な皮膚のようである。
先日東京・六本木で札幌国際芸術祭の参加者が発表された
という。
その報道を取り上げたのが地元の北海道新聞で、朝日や
毎日といった全国紙は沈黙と聞く。
何故札幌の国際展を最初に東京で発表したのか不明だが、
東京という中央を見てアピールしたかったのだろうと感じる。
これも中央・地方の斑(まだら)模様だ。
国際展開催の3ヵ月前にやっと作家メンバーが公表されて、
先に展示主題のメニューだけは半年前に公表されている。
作家とテーマは不可分のものだから、少なくとも同時進行で
進めなければならない筈だ。
主題の「都市と自然」に合わせて、都市の近代の面は近代美術
館を使って炭鉱夕張を主題とし、自然の部分は泉を主題に地下
歩行空間を会場にするような既成の箱モノを主体に展示が予定
されている。
他に山中に近い芸術の森美術館や赤レンガの道庁庁舎、資料館
といった公共的な会場もそれぞれのテーマに合わせて使用され
るようだ。
地下水脈を主題とする時、大規模地下通路を会場とするとか、
都市の近代を主題とする時都心にある道立近代美術館を会場に
するとか、その他にもテーマと会場の安直な組み合わせがまるで
産地とメニューの乖離のようで寒々と感じるのだ。
時間も押し迫ってやっと参加メンバーも公になり、これから
多くの人たちがこのイヴェントに添って走り出す事だろう。
なにかアートという名のオリンピックみたいな同じ方向性を見
させられるような嫌な気分である。
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