この時期になるといつも思い浮かぶ歌がある。
福島泰樹の一首である。
鉄橋のようにわたしは生きるのだ辛い3月4月を終えて
昨日あたりから大分寒さも緩んで雪の路面が柔らかくなってきた。
しかし夕方になると緩んだ路面は凍てついて固く閉じてくる。
春の訪れは雪の斜面の裸樹の根元の黒い窪みにまだ潜んでいる。
木々の梢は空に伸びる黒い静脈・鉄橋のようで、梢の緑は燃えて
いない。
うっすらと北コブシの白い花が咲き出すのは、もっと先の事だろう。
腐れ雪の間から大地の喜こびのような黄色・福寿草のjoyの花が
咲き出すのもその頃である。
一色突破。
それが北国の春だ。
春爛漫はそのずっと後の事。
そして爛漫となるのは春ではなく、初夏の野山なのだ。
北の春は一色突破で短い春。
北こぶしの白や福寿草の黄、ふきのとうの淡い緑が、<辛い3月
4月を終え>る<鉄橋>の希望の色彩である。
一色突破、一点突破。
人も花もそうして辛い冬を突破する。
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