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テンポラリー通信

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2014年 03月 11日

寒気・3月ー拠点・弥生(6)

雪積もって3月11日。
水道管が止水栓を開けると水を噴出す。
凍結してどこか破裂しているのだろうか。
寒気の津波が水のトラブルを起こしている。
あの東日本大震災3.11の今日、ここでも
小さな自然の猛威。
今年は寒気が続いて長く寒い札幌。
会場が空くとなおさら寒さが身に凍みる。
気持ちも滅入って光熱費とともに消耗する事
ばかりだ。

TVを見ていると3・11の3年前の記録が
特集で流れている。
水の力の脅威が繰り返し映される。
その一方で人影の絶えた原発事故後の捨てられた
村・町の風景が映っている。
津波で家を流され荒涼としたなにもない世界に対し
て、放射能の濃い無人の町は家が並び商店街も道路
も何も変わらず静かに立ち並んでいる。
共通するのは人の気配が消えている事だ。
人間が生活しているという生の産地が消失して、その
インフラ条件装置のみがここでは前面に出ている。
生活の諸条件全てを大津波が流した風景。
生活の諸条件全てを形骸化し抜け殻のように残した
風景。
本来そこの中心にある人の生がすっぽりと抜けた
虚空の風景である。

この虚の風景は同時期繰り返し放映されたゴースト
ライター作曲家の虚の謝罪会見の薄気味悪さに共通
するものを感じた。
現代のベートーベンと言われた長髪にサングラスの
風貌を変え、髭を剃り短髪のぺらっとした顔をして
謝罪会見に現れた偽作曲家の姿は、真ん中がすっぽり
と抜けた3・11虚の風景の人間版のように感じれた
のだ。
メニューと産地の乖離、現場と報告の改ざんの乖離
といったこのところ謝罪会見の連続した食の偽装や
JR北海道の偽装に通じる虚と実の乖離の風景である。
そしてこの乖離に大きく関わっているのが、現代メデ
イアの増幅する力だ。
産地や才能という自然本来が主役ではなく、それをとり
まく増幅装置の方が過剰に働いている。
この増幅装置を真に文明・文化といって良いのだろうか。
津波という自然はそうした現代への強烈なしっぺ返しで
もあるとさえ思える。
産地とメニューは本来一体としてあるものだ。
このふたつに乖離が生まれるのは、自然ではない。
その不自然な乖離を3・11の風景と謝罪会見の社会
現象に感じるのだ。

然し真に問題なのは、謝罪も津波も見えない乖離である。
この見えない乖離は、増幅されたメニューと街の風景の
内に今日も潜んでいるものかもしれない。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-03-11 14:00 | Comments(0)


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