「札幌原風景研究市民センター」準備号№3が出た。
札幌緑の運河エルムゾーンを守る会の発展的組織として
試みている運動の連絡紙である。
一面に高臣大介さんの先日の個展「ひびきあう」の写真
が掲載されている。
2面3面は今年2月に市議会で代表質問された北5西8
の伊藤邸敷地保存を求める陳情の審査に関する代表質問
の記録である。
そして4面にはこれまでの保存運動の記録が掲載されている。
筆者の河野本道氏は行動的な反骨の人類学者であり、河野
忠吉、河野広道と3代にわたる学者の家系の人だ。
この河野氏が高臣大介のガラス作品展示に深く共感して一面
に写真と文で掲載してくれた。
・・それは造形面のみを表現したというものではなく、微風
や小さな振動によるだけで心地良い澄んだ和音群を奏でる。
ところで、この作品は第三弾目のもので、すでに第一弾目、
第二弾目が清華亭、道立近代美術館において発表されている。
そして、このような現代アートが、清華亭のような札幌の原風景
を物語る指定文化財の建造物において披露されている理由は
どこにあるのかと、美術家の感性に迫ってみたいという気持
ちになるのは筆者だけだろうか。今後も<原風景>と<現風景>
のコラボレーシヨンに大いに期待したい!
植物園ー伊藤邸ー清華亭と連なって伏流水が泉となって湧き出て
いたエルムゾーンの記憶を留めるこの地域。
その泉のモニュメントとして最初に創られた清華亭庭のガラス作品
が、百一本の「あふれでる」として翌年展開し、さらに今年は百四
本の「ひびきあう」目と耳に響く透明な作品として泉の造型を結晶
させてきたのだ。
さらにこの作品は本人曰く10年かけて千本の作品に仕上げたいと
語られている。
かってあった札幌の原風景である湧泉の記憶を現在に甦らせる美術
の創造と現実のこのゾーンの保存運動との交叉は、幻視の美術行為
と現実行為という正に両手両足のようなものとしてあるように私に
は感じられたのだった。
河野さんもまたそこを共感して文章にしてくれたと思う。
ー<原風景>と<現風景>のコラボレーシヨンーとは、その意味
でもあり、美術作品という<幻風景>の保つ現実でもあるだろう。
幻視と現実が重層して「緑の運河エルムゾーン」は、今日も白い
冷えた季節の底で深く発熱している。
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