少し気温が上がったのか、ツルツル路面は溶けて湿った雪道。
これが夜冷えるとまた大変だ。
昨夜は何度か滑って転びそうになる。
2年前転倒して左手首の骨折した事を思い出す。
包帯で左腕を固定し左の指先が使えず、些細な日常の行為
に支障を来たす。
右手一本ではなにも出来ず、身体の絶妙なバランスを実感
したものだった。
手足の指先ひとつにも身体バランスを支える役割がある。
損なわれて初めて分かるものだ。
お風呂、手洗い、歯磨き、薬の錠剤取り出しと普段何気なく
普通にしている行為が支障を来たす。
ツルツル路面で転ぶだけで、その衝撃は時に日常を断絶する
のである。
アイスバーン路面侮るなかれ。
ツルツル路面のような危うい時間は日常の他の時間にも潜んで
いるのかも知れない。
時代のアイスバーンが、人の心を在らぬ方向へ滑り転倒させる。
手足の指先のような日常を喪って、虚妄の観念の滑り台を転がる。
街を早足で歩く人の群れを見ていると、そんな感性のアイスバー
ンを滑っているように感じるのだ。
身体ではなく、心の身体を骨折して大切な日常の指先を喪って
いるかのように思えるからだ。
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