人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2014年 02月 28日

ゴールデンバットー一角獣・如月(16)

ひもじくなっていつのまにかキャスターからゴールデンバット
に変わっている。
吸うタバコの話である。
もともとゴールデンバットを吸っている人には申し訳ない話だが
、値段が半分以下なのだ。
最安値のこのタバコはどこにでも置いている訳ではなく、場所
によっては置いていないのである。
高級住宅街のコンビニ・スーパーには置いていない。
そんな高級住宅街が多い円山地区のスーパーでたまに買い物を
していると、大声で喚いている人がいた。
このスーパーは、地下鉄に連動したビルの地下にあり、普段から
多くの人が集まっている。
早足でびゅ~んという感じで店内を駆け回っている。
どこか上から目線の強欲そうな買い物客が多いのだ。
そこで何かに苛立ち大声を上げている人がいる。
大量に物が並び欲望が刺激される場所で、買い物客の視線の先端
が鋭く尖って店を駆け巡っている。
これは少し離れた場末の市場のようなスーパーにはみられない雰
囲気である。
お買い物をするというゆったりとした雰囲気がここには少なく、
街の矢印のような尖った視線の延長で買い物があるようだ。
そんな尖った視線に傷つき苛立つように誰かが大声を上げている。
かってこの円山地区は森と山に近い神宮のある静かな地域だった。
産地を繋ぐ琴似街道が通って市場が連なる地域だった。
その市場は今消えて大手のスーパーが高層マンシヨンとともに
進出している。
小さなパン屋さんもいつのまにか大手の不動産屋のセンターに
代わり、かって夕日がトマトのように見えた事からトマトムーン
と名づけたカフエも夕日が見えなくなって撤退してしまった。
近年では郊外の趣きある風情は消えて矢印歩きの黒いブーツが
高い靴音を立てて獰猛に徘徊している。
優雅とは程遠いナチス親衛隊か北朝鮮の兵士のような歩行である。
それらの矢印が、商品に群がるように突進して歩き回っている。
地下歩行空間や駅を歩くリズムがそのままこの郊外にも続いて
いるのだ。
あの悲鳴のような大声はいつまでも脳裏に残り、外に出た夜の
闇をさらに深くして響いていた。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-28 13:42 | Comments(0)


<< ツルツル路面ー拠点・弥生(1)      雪緩むー一角獣・如月(15) >>