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テンポラリー通信

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2014年 02月 20日

光燦々、音燦々ー一角獣・如月(9)

今朝は久しぶりに晴れて、光と音が廊内に溢れる。
高臣大介ガラス展「ひびきあう」3日目の朝。
外の路面の雪に反射した白い光が、波打つ透明なガラスの
飛沫を柔らかく抱擁している。
身体に触れるこの透明な飛沫が澄んだ音を響かせる。
光響燦々と満ちて、光の函世界。
そこへ須佐之男命のような髪をした高臣大介が現れる。
溢れる光と音の中、天の岩戸が開いて天照大神の世界の
ようである。

高臣大介さんの個展が始まってもう10年。
冬の今の時期にそれは始まった。
ガラスは夏のものという先入感を破る事が最初からの
我々の意思だった。
千葉から移住して間もない当時の高臣さんは、北海道の
初めての冬にスタッフも去り辛い時期だったのである。
その冬を逆手にとって、彼独特の透明なガラスを雪と氷柱
とコラボする。
そんな意気込みで集中的に吊りの一輪挿しや器を数多く
一気に制作し展示したのだ。
当時円山にあった大きな窓の開いた2階のギヤラリーは
この時雪と氷柱と光と透明なガラスの鮮やかな共演を生み
展示は成功裡に終わったのだ。
それから厳冬のこの時期雪と氷柱とガラスの光の共演は
毎年の恒例の挑戦となっている。
冬に多くのスタッフが去り一度は負けそうになった冬を克服
して、高臣大介さんの無色透明なガラスの制作行為はより
一層強靭になったと思う。
ある環境的な困難を克服し、さらに制作の主題となるテーマ
性を「野傍の泉池」展の清華亭庭等で試みる事で作家として
も大きな飛躍を遂げてきた。
その象徴的な仕事が今回の主題ともなった「ひびきあう」の
起点になった昨年暮れの道立近代美術館での展示である。
雪と氷柱とガラスの視覚的表現から音という響きを加えた新
たな表現領域へと彼のガラス世界は広がってきたのだ。
それが今回「ひびきあう」というテーマに結実して、響く音が
一層透明なガラスの世界を広げ、光が音に触れ音が光に触れる
世界を創出している。

:高臣大介ガラス展「ひびきあう」-2月23日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-20 14:06 | Comments(0)


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