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テンポラリー通信

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2014年 02月 14日

移動・移住・移民ー一角獣・如月(5)

近くにあった鬱蒼とした屋敷が無くなった。
古い木造のアパートと並んで建つビルにはさまれた大きな家だった。
その一帯がいつのまにか青空駐車場に変わっていた。
街中ではよく出会う光景ではある。
あっという間にあったものが消えて、空き地や別の建物になる。
そして喪われた建物を思い出す事が出来るのは、余程その建物が
印象に残っているからだ。
それはその建物がそこに住む人の<住>を深く感じさせるからと
思える。
そして同時にその建物が保つその土地の匂いを感じさせたから、と
思う。
古い屋敷と隣接して建っていた古いアパートは民家の持ち主と同じ
名前の付いたアパートだった。
きっとこの土地の地主さんだったのだろう。

現代は移動する変化の時代である。
すべてが急速に移動してゆく。
情報も交通も人間も足早に移動してゆく。
地に根を下ろした<住>は、マンシヨンやハウスといったパック構造
に収まり、大量移動のインフラ設備が都市機能を増幅させる。
移動が主体となって、移<住>や移<民>といった根の部分が希薄
になっている。
そんなに遠くないある時代まで、人の移動は移住であり時に他国
からの移民でもあっただろう。
この場合の他国とは都会でもあり、もっといえばある時代までの
東京ともいえたのである。
北海道へ渡って来た移民の時代から、<移動>とは<住>を背負い
自分を育てた県<民>を背負った移動だった。
そうした<移動>は、大学進学や就職で東京へ出ても、同様の
故郷という<民>を背負い<住>を求めて都会へ移動していったのだ。
移動と移住と移民とはその根において、現象・実体・本質のように
三段階に深く関係してあったと思う。
移るという行為の内に住・民という根があったように思える。
移動・移住・移民から「移」だけが残り動・住・民が喪失したのが
現代だとすれば、<移る>事が主役の現代が見えてくるような気がする。
移動に<住>と<民>を取り戻す闘いをどこかで用意しなければならぬ。

*高臣大介ガラス展「ひびきあう」-2月18日(火)-23日(日)
 am11時ーpm7時。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-14 16:21 | Comments(0)


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