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テンポラリー通信

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2014年 02月 07日

寒気は続くー一角獣・如月(2)

今年の寒気は相当に堪えている。
まして空白の画廊に、毎朝の毎日の白い時間が
身も心も冷え込ませる。
今までこんな事はあまり無かった気がする。
流氷の海から来た男の熱い個展が終わった後だけ
に一層寒気が凍みる。
もうひとりの熱い男の個展との間が開いて、その狭間
に震えているようだ。
千葉から洞爺湖湖畔に移住してきたガラス作家高臣大介
は、オホーツクの画家佐々木恒雄とは対照的な無色で
透明なガラスの作家である。
しかしその氷のような澄んだガラスには、熱い迸る思念
が象嵌されている。
流氷の海の赤い情念とは対照的な本州千葉から北へと燃え
る透明な情念がある。
この故郷と正反対の志向性は、移動する人間の本質
的な夢とどこか関わりがあるのだろうか。
意識的なものではなく、深く本質的な浪漫なのかも
知れない。
かって網走へ帰ると決めた佐々木さんと沖縄へ移住する
と決断したチQくんとの2人展があった時、北へ帰る
佐々木さんのここでの滞在新作は赤で構成された「朱雀」
という作品となり、チQくんの新作は「玄武」と名付けら
れた黒い縁取りの作品となった事がある。
これはどちらも意識してそうなった訳ではない。
自然と滞在製作中に出来た作品がそうなっていたのである。
ある真摯な志向を保った生き方を選び行為しようとする時
自然と古代の4原色が浮上してくるのであろうか。
オホーツクの海へ出立の決意の時に朱が顕われ、南の島へ
移住しようと決断した時、玄(クロ)が顕われる。
高臣大介の場合はそれが透明な白という容で顕われる。
これらはすべてある移住を決断した作家達の出立の色彩である。
志向する処と去る場との対照的な色彩が決意の色彩として立ち
顕れる。
移住という行為の決断が、夢と断念を握り締めるようにして現在
という時の色彩を創っている。
それがオホーツクへ向かう朱であり、南の島へ向かう玄(クロ)
であり、北へ向かう白でもあったように思える。
きっといつの日か私は青を勝負色とする作家と出会うのかもしれない。
その時遅まきながら私は、青春・朱夏・白秋・玄冬の一年を自分の
季節のように一生として送る事が可能となるのだろうか・・と、この
寒気の中夢想のように思うのである。

*高臣大介ガラス展「ひびきあう」-2月18日(火)-23日(日)
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-07 13:45 | Comments(0)


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