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テンポラリー通信

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2014年 01月 29日

佐々木恒雄展終わるー頬杖・睦月(12)

畳一畳程の大きさの大作を完成させて佐々木展終わる。
最終日前日画家への夢を持つYちゃんがじっと見つめる中
佐々木さんは一心に筆を走らせていた。
一番緊張したと後で語っている。

最終日は佐々木さんの札幌時代のデザイン仲間や音楽系の
友人達が途切れなく訪れ上も下も人で一杯となる。
DJやミュージシアンも多く、その内のひとりは故村岸宏昭
と演奏を共にした人だった。
その人が2階吹き抜けの回廊に陣取り演奏を始めた。
この場所で演奏をしたのは、正に2006年の7月の村岸展
以来ではないだろうか。
その半月後ムラギシは四国の高知の川で遭難死する。
それから1年後に追悼展をし、さらに1年後追悼の本を出版
し、その中に収録された彼の作曲した楽曲は今も時々演奏され
ている。
生前のムラギシを知らない人たちが彼の曲を演奏した録音を
このムラギシの友人に聞かせた。
「撓む指は羽根」のジャズアレンジの演奏である。
この曲をかってムラギシとともに演奏したことのあるこの友人
は、目をむいて感動していた。
ちょうど遺稿集を出版・編集したかりん舎の二人も見えていて
その偶然を心から喜んでいる。
遺稿集の表紙デザインは佐々木恒雄さんで、今回の会場撮影を
した写真家のクスミエリカさんは、ムラギシの遺品を遺作集に
撮影提供している。
佐々木展最終日はどこかムラギシの日のようでもあった。
ムラギシさんの実家のようだね、と誰かが呟く様に言った。

5年前網走に帰り漁師となり絵画を続けている佐々木さんの
3年ぶりのここでの個展はこうして懐かしい人たちとの多くの
再会を幾つも果たして盛会の内に終わる。
作品が作家を勇気付け、作品が黄泉の国の友人を招き寄せ小さな
女の子の夢を励ます。
そして作品が新旧の新たな出会いをも生んだ豊かな時間を創って
くれたと思う。
もう流氷が接岸するというオホーツクの海へ帰った佐々木さんは
その胸にきっと熱い燃えるような個展の想いを抱いて海をみている
に相違ない。

*高臣大介ガラス展「ひびきあう」-2月18日(火)~23日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-01-29 13:56 | Comments(0)


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