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テンポラリー通信

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2014年 01月 24日

オホーツクの赤ー頬杖・睦月(10)

故郷網走に帰り漁師の家業を継ぐと決めた札幌展会場
で制作された佐々木さんの作品は、朱色だった。
「朱雀」と題されたこの作品は、オホーツクの海に
生きると決意した燃える魂の色だったのだろう。
そのオホーツクの海で生きて5年、今回展示された
「And Yet meet」と題された大作は
再び赤が印象的である。
向き合った男女が激しくも美しい青、緑、赤の
描線の中に在る。
他者を媒介にして炎のように立ち昇る赤。
この赤はかって出立の時に顕れた個の内面に燃えた
赤とは違う、外界に、他者へと触れる赤である。
オホーツクの海に戻って数年。
画家の故郷への愛が迸るような作品だ。
赤は画家の命そのものと思える。
昨年猛吹雪で道に迷い娘を抱き締め守りながら命絶えた
父子を画いた作品にもこの赤がある。
助かった小さな女の子の姿も炎のような赤で描かれている。
この赤とは何かを想起させる一文が、ふっと想い浮かんだ。

 ・・ここでは白は赤をへずして、いきなり青色となる。
 それはすでにこの地が人間が介在すべきでない空間で
 あることを意味しないか。

      (「南半球舟行-2008」早川禎治)

青・赤・白・黒の古代の4原色に象徴される赤とは生命の色である。
佐々木恒雄の勝負色とも言うべき赤色とは、正にこの生命の炎を
顕す色彩と思える。
流氷の押し寄せる故郷オホーツクの海で、画家として彼が掴んだ
色とはこの赤であり、他者への愛であったと感じさせる作品であ
ると私は思う。

*佐々木恒雄展「And Yet」-1月26日まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 

by kakiten | 2014-01-24 16:12 | Comments(0)


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