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テンポラリー通信

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2013年 11月 21日

澱まない眼ー風曼陀羅・霜月(13)

すべてが下降するような晩秋に、軽やかに旅する屈託の無い
目線の写真が百枚ほど並ぶ。
吉田切羽写真展「on the road」である。
東南アジアの飾らない庶民の姿・風景が、旅人の歩行のよう
な流れるような目線で捉えられている。
車窓から見た澱みない風景のように、遠い南方の風物が空間
にさらさらと波打って流れている。
人柄だろうなあ、この写真の保つリズムのような軽やかさは。
いろんな場所を歩くのが好きな人だ、と聞く。
深刻になにかに拘るのではなく、さらさらとあるがまま全体像
を把握する、そんな天性の正直さを保つ作家である。
多分このテンポラリースペースを選んだ動機にも、歩きながら
ふっとステーシヨンに立ち寄るように、留まってみたかったに
違いない。
吹き抜けの見上げるような深呼吸する時間を、歩きながらふっと
欲する時もあるからなのだ。
思いもかけず個展という形で今回の写真展が実現して、本人自身
が一番驚いているのかも知れない。
常に歩く歩行の人が一瞬立ち止まり、時間の質がこれを機に少し
変わっていくのかもしれないからだ。
そんな予感がする個展である。
したがって、会期中に作品の構成はさらに変化しつつ歩行の様態
すべてを自ら検証する展示ともきっとなることだろう。
最終日が今回の個展の完成ときっとなる事だろう。
会期中もまだ、この作家の歩行は続くに違いないからだ。

骨折リハビリー中の酒井博史さんが来る。
やっと吉増剛造展フライヤーの打ち合わせが出来る。
昨日の予定だったが、酒井さんの膝の痛み激しく延期になっていた。
とりあえず打ち合わせが出来ほっとする。



*吉田切羽写真展「on the road」-12月1日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*吉増剛造展「ノート君~神窓へ」-12月10日ー1月5日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-11-21 12:45 | Comments(0)


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