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テンポラリー通信

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2013年 11月 12日

冷え込むー風曼陀羅・霜月(7)

一気に路面も凍結。
自転車は置いて徒歩出勤。
白い朝だ。
灯油の手配も遅れ寒さに震える。
灯油だけではない。
遅れているものばかりで、崖っぷち。
友軍は負傷者続出、戦線は急を告げて余裕無し。

昨日は山田航さんを案内して、十二軒通りを歩く。
彼の新聞連載の取材の為である。
いつのまにか多くの家が建って、風景が変わっている。
路地が舗装され以前歩いた場所とは違う処に出る。
苔むした馬のお墓だけが唯一、古い路傍の記憶を残していた。
「南無阿弥陀仏」と刻まれた長方形の墓石。
馬頭観音とは違う、蝮に咬まれ死んだ愛馬の為に建てられ
たお墓と地元の人に聞いた。
十二軒の小さな集落のあった琴似川沿いの通り。
今はそのすぐ傍を幅広い車道、通称ロスアンゼルス通りが
広がっている。
そして教会を模したブライダル産業の結婚式場が建ち、ファ
ミレスが並んでいる。
さらに大きく華麗な美術館もあって、近代と現代の境目が
馬の墓石と激しく対比されて在る。
このふたつの対照的な空間に流れるものは、時の蓄積の
相違である。
土地と生き物の記憶が鎮魂として息づく墓石の佇む路傍と、
物流の新旧の流れが激しく往来するペーブメントの時空の
差異が併存しているのだ。
通称ロスアンゼルス通りには、現代を象徴するメニューの
ようにアートも美食も並んでいるが、そこに土地と命の記
憶は無い。
土地と命の記憶が希薄という事は、そこが産地ではなく消費
と集散地の交差地としてあるという事だ。
十二軒通りもまた駅前通り地下歩行空間と同じ時空間に変質
しつつある。

個人的状況も含めて状況は同質の境目を露にしてひたひたと
侵攻して日常に迫ってくる。
厳しい寒気の到来はそのまま今という時代の寒気かもしれない。

*吉田切羽写真展「on the road」-11月19日(火)-
 12月1日(日)
*吉増剛造展「ノート君~神窓へ」-12月10日(火)-1月5日
 (日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/xfax011-737-5503

by kakiten | 2013-11-12 14:06 | Comments(0)


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