一気に路面も凍結。
自転車は置いて徒歩出勤。
白い朝だ。
灯油の手配も遅れ寒さに震える。
灯油だけではない。
遅れているものばかりで、崖っぷち。
友軍は負傷者続出、戦線は急を告げて余裕無し。
昨日は山田航さんを案内して、十二軒通りを歩く。
彼の新聞連載の取材の為である。
いつのまにか多くの家が建って、風景が変わっている。
路地が舗装され以前歩いた場所とは違う処に出る。
苔むした馬のお墓だけが唯一、古い路傍の記憶を残していた。
「南無阿弥陀仏」と刻まれた長方形の墓石。
馬頭観音とは違う、蝮に咬まれ死んだ愛馬の為に建てられ
たお墓と地元の人に聞いた。
十二軒の小さな集落のあった琴似川沿いの通り。
今はそのすぐ傍を幅広い車道、通称ロスアンゼルス通りが
広がっている。
そして教会を模したブライダル産業の結婚式場が建ち、ファ
ミレスが並んでいる。
さらに大きく華麗な美術館もあって、近代と現代の境目が
馬の墓石と激しく対比されて在る。
このふたつの対照的な空間に流れるものは、時の蓄積の
相違である。
土地と生き物の記憶が鎮魂として息づく墓石の佇む路傍と、
物流の新旧の流れが激しく往来するペーブメントの時空の
差異が併存しているのだ。
通称ロスアンゼルス通りには、現代を象徴するメニューの
ようにアートも美食も並んでいるが、そこに土地と命の記
憶は無い。
土地と命の記憶が希薄という事は、そこが産地ではなく消費
と集散地の交差地としてあるという事だ。
十二軒通りもまた駅前通り地下歩行空間と同じ時空間に変質
しつつある。
個人的状況も含めて状況は同質の境目を露にしてひたひたと
侵攻して日常に迫ってくる。
厳しい寒気の到来はそのまま今という時代の寒気かもしれない。
*吉田切羽写真展「on the road」-11月19日(火)-
12月1日(日)
*吉増剛造展「ノート君~神窓へ」-12月10日(火)-1月5日
(日)
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