人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2013年 10月 29日

小さな総括ー楡の翳・神無月(25)

今年5月・6月に開かれた小樽美術館・文学館瀧口修造展に
触発され、札幌とは何かを問う為に、小樽と札幌をテーマに
小樽・一原有徳と札幌・佐佐木方斎を取り上げ、最終的には
札幌を精神風土とする佐佐木方斎の新作自由群にまでに至っ
た過程を小さく総括する。

佐佐木方斎の新作自由群は、港町近代の小樽とは明らかに
異なる扇状地札幌近代の伏流水から湧き出たメム(泉)の
ような瑞々しい作品であった。
「余剰群」の方形と円形の中の色彩、色彩を削ぎ落とした単色
の直線構成の「格子群」。
そしてその3部作の端緒となった「自由群」の40年ぶりの新作
は、油彩によって描かれた流水のような美しい作品となって
再生した。
そこにはこの作家の10年近いブランクは少しも感じられず、
むしろ以前よりいっそうの瑞々しさを保った新たな作品とな
っていた。
札幌を第二の故郷として、20歳代疾走したひとりの作家の
鮮やかな復活である。
今回の新たな「自由群」の誕生は、札幌という近代が個の内に
紛れも無く存在し、作品が生まれた事を意味している。

作家にとって場とは何か。
場とは生きる事、創造の現場で如何なる磁場を保つのか。
その根源的な問いを、小樽・札幌のふたつの異なる都市の近代に
おいて確かめ、問いたかったのである。
それは自分自身が生きているこの土地への愛でもあり、同時に
その確認の為でもある。
そのひとつの応えが、今回の佐佐木方斎の新作群であったと私は
今思っている。
札幌が札幌として個の内に際立つこと。
その事のみが自立した真の精神性である事を、私は作品の小さな
結晶の内に感じていたのだ。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-10-29 15:17 | Comments(2)
Commented by めむ at 2013-10-29 20:18 x
重複してますよ!
Commented by kakiten at 2013-10-30 15:21
めむさん>ありがとう、削除しました。


<< 渦々エルムゾーンー楡の翳・神無...      最終日ー楡の翳・神無月(24) >>